先日、アルミ建材大手の文化シヤッターが、販売管理システムの開発が頓挫した責任が委託先の日本IBMにあるとして、約27億4,000万円の損害賠償を求めて日本IBMを提訴していたことが明らかになりました。文化シヤッターは同システムの開発委託で日本IBMに支払った費用などの返還を求めています。
実はこのような事例は珍しくなく、大企業・中小企業のシステム開発で頻繁に起こっています。システム開発の7割は、何らかの理由で失敗しているといいます。
ではなぜ、大手会社同士でもこのような失敗が生まれるのでしょうか。原因は複数あげられます。
◆要件仕様の決定漏れ
ユーザー側は普段行っている作業が当たり前の作業となっており、開発サイドに重要なことを伝え漏れすることがあります。開発側が作成した現状の業務フロー図や業務手順書をしっかり漏れがないか確認する必要があります。
◆プロジェクトリーダーでない決済者の要望漏れ
開発を行う上で、通常は決済者の社長や代表者ではなく現場のリーダーなどがユーザー側のシステム開発のプロジェクトリーダーになることが多いです。そのため現場の意見主導で要件を固めて開発を進めて行きますが、いざ決済者が進捗や要件を確認した際、本来の要望からずれていたり、要望がそもそも要件に入っておらず、大幅な仕様変更等を余儀なくされることがあります。
このようなことがないように、定期的に決済者には会議に参加してもらい、都度要件がずれていないか確認してもらう必要があります。
◆依頼側が協力的でなく、開発が中々前に進まない
システムの開発は「開発側」と「ユーザー側」の共同作業です。業務システムの開発を行うには、システム化する業務を完全に理解した人の協力が不可欠です。しかし、多くの場合、開発側は他社の業務については全くの素人で何もわかりません。
そのため、ユーザー側でも積極的に開発に参加できるリーダーを選定し、開発側と一心同体となって開発に臨む必要があります。
◆まとめ
以上のような失敗事例から開発を委託する際に気をつけるべき点がある一方で、中小企業ではITスキルのあるリーダーの選定や、開発の協力に時間を割ける人員がいないなどの問題があるかと思います。
TOMAコンサルタンツグループではシステムの導入支援、要求定義、システム開発会社の選定支援を行っています。システムの導入やリプレイスなど、お気軽にご相談ください。