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不動産鑑定評価について

記事作成日2018/08/13 最終更新日2020/05/28

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◆不動産鑑定評価とは

 一般の方が不動産を売却する場合、まず不動産仲介会社へご相談されるでしょう。そこで売買価格をいくらとするかが問題となりますが、ほぼすべての仲介会社で、価格査定書というものが提示されます。この査定書の価格の算定方法については、業界として価格算定の方針などが示されてはいるものの、業界統一のシステムや価格算定方法などが明確に決められているわけではありません。算定方法は方針に従いつつ各社独自のものとなるため、仮に仲介会社A とB があった場合、示される査定書の価格は異なる場合がほとんどです。場合によっては大きな乖離があることもあります。
 そんな時、利害関係のない専門家に適正な時価を示してもらいたいとお考えになられる方もいらっしゃるでしょう。不動産の取引は、ほとんどの方にとって何度もあることではなく、また動く金額も大きいので、「多少のコストは払っても満足のいく取引をしたい…」と思われる方も多いと思います。そのような方は、ぜひ不動産鑑定士に相談してみてください。費用はかかりますが、専門家の視点から見た時価を書面で示してもらえます。

◆簡易鑑定はなくなった?

 先日、弊社のお客様でも不動産の売買に伴い、中立的な第三者の立場から時価を算定してもらうために不動産鑑定士による不動産鑑定評価書を取得することになったのですが、正式な鑑定評価書(本鑑定)なのか、いわゆる簡易鑑定で良いのかが問題となりました。
 なぜなら、簡易鑑定は本鑑定に比べ価格が半分以下の場合があるなど低料金でかつ迅速に出してもらえる場合があるからです。「内容が同じなら、簡易鑑定で…」というのが人情というものです。
 この簡易鑑定について調べたところ、そもそも簡易鑑定というものの正式な定義がないことがわかりました。その名称も簡易な鑑定を略しただけで、本鑑定で行っている手続きを一部省略したり、各鑑定士によっても内容がまちまちで、本鑑定に比べ何ら基準や制限がなかったというのが実際のようです。
 そのような状況に対し、監督官庁である国土交通省よりガイドラインが示されました。それによると簡易鑑定という言葉を冠した文書を作成してはならず、簡易な鑑定が認められる場合を限定し、口頭では簡易鑑定という言葉を使ったとしても文書としては不動産価格調査書等という名称を使わなくてはいけなくなりました。また、鑑定という言葉は本鑑定でしか使ってはならず、価格調査書は簡便な評価でしかないため、あくまで参考意見でしかないということです。
 一般の売買などの参考程度であれば良いのですが、裁判などでは正式な根拠とならない場合があります。近々鑑定評価を取得する予定がある方はこの点に留意しましょう。

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