融資実行額は大幅に減少傾向を示す
昨今の不動産マーケット、特に首都圏など都心部を中心に投資用不動産価格の上昇とそれを後押しした金融機関の動向について、金融庁が銀行・信用金庫等向けに表題のアンケートを実施し、今年の3月末に発表しました(金融庁HPで公開)。
同アンケートによると、投資用不動産向け融資の残高は増加していますが、実行額は平成29年3月をピークに減少に転じています。
TOMA担当者が金融機関や不動産会社と直接面談した肌感覚では、令和2年3月においてはピーク時の半分程度又はそれ以下となる可能性もあるかもしれません。
金融機関の取組姿勢も消極的に
「投資用不動産向け融資に対する金融機関の取組姿勢」からは、不正問題等で一時的な減少というよりは、金融当局の監視の厳しさなどを反映しているのか、投資用不動産向け融資そのものに消極的になっている状況も見えてきます。一方で、半分以上が“自然体” で対応との意見である点も注意を引きます。
これが意味することは、不動産融資が急拡大した理由として、土地の取得も含めた一棟物件をサラリーマン投資家などが無理をして取得するケースが多分に含まれているため、そもそも土地を持っている地主にとっては、金融機関の融資姿勢に大きな変更はないということかもしれません。この層の資金使途は単純に建物の取得のみに限られるため、金融機関としては安全度の高い融資と判断される可能性が高いためです。
今後のゆくえ
不動産向け融資は、冷却期間を置き再度積極姿勢に転じる可能性も考えられます。減らした不動産向け融資の行き場が必要となりますので、M&Aや新規事業資金の融資を考えている方にとっては大きなチャンスと言えるかもしれません。
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