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サラリーマン大家をめざして
「老後資金が2,000万円不足する問題」が大きく伝えられました。少子高齢化の影響もあり、老後は年金収入だけでは満足な生活が保障されないという問題です。収入のある現役時代に十分な預貯金を確保できた方は別として、住宅資金や教育資金に多額の費用を要する現代日本において、将来が保障されない不安感は、金回りを悪くさせ、経済成長を鈍化させてしまいます。消費するよりも貯蓄を優先することが重要だと考える現役世代が増加しています。
昨今、「サラリーマン大家を目指す」方が徐々に増えてきています。サラリーマンとして収入の保障があるうちに、金融機関から資金を調達し、将来のための不動産投資を始めるという考えです。定年退職するまでに借入金を完済し、家賃収入を将来の年金に加算することができれば「2,000万円不足する問題」は解決できるというのです。
概算ですが、65歳で定年退職を迎え、無収入になったとします。毎月55,000円の手取り家賃収入があれば、年間660,000円になるので、30年間で1,980万円となります。これで95歳までに必要な資金に代えられます。賃貸入居者が居て、建物が滅失しない限り・・・。
融資環境の悪化が適正価格を創り出す!?
これらの「サラリーマン大家を目指す」という投資環境は、昨今、大きく変化しました。金融機関は事業計画を精査して融資可否を判断するというよりも、資産背景の無いサラリーマン投資家というだけで、融資を門前払いする金融機関が増えたのです。これらは根拠の薄い事業計画案や資産背景の改ざん等を一部の金融機関が行った結果、融資の健全性が損なわれ、金融庁の指導が厳しくなったことが原因と言われています。
しかし、この結果、より健全な財務内容での不動産賃貸経営が行われるようになったとの見方もあります。また、自己資金比率の低いサラリーマン投資家が減ったことが、不動産価格の下落への道筋となり、目利き投資家はこれからが正念場を迎えるとも言えます。入居希望者が絶えない立地で、建物が長期保有に向いた構造である限り、不動産投資はリスクの低い事業ともいえます。金融機関の融資環境が厳しくなった今こそ、融資に頼らないでも購入できる投資家が、「お得感のある」不動産を購入していくようになります。借入前提では金利変動リスクを考慮した時、収支が合わないような価格の投資物件は、今後、少なくなっていくのではないでしょうか。