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社長のブログ ~100年続く企業を創る~

狙い過ぎずに、感じよく

記事作成日2025/09/08

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どうすればお客様が来てくれるのか。どんな会社にとっても最重要のテーマです。

自社の強みを活かしてライバルと差別化し、ターゲットを絞って独自の戦略を練っていく。そのこと自体は正しい取り組みだと思いますが、狙いを定めることに注力するあまり、見落としてしまうことがあるかもしれません。

お客様が自社を訪れるきっかけは様々であり、大事なのは初めてのお客様にもう一度行きたいと思っていただくこと。私自身の顧客体験を通して感じたことをお伝えします。

初めての店を訪れたわけ

ある休日に、家の近所に新しくできたハンバーガー店に行った時の話です。その日の昼、私と妻は「久しぶりにハンバーガーでも食べようか」と思い立ち、近くの大手ファストフード店に行きました。休みの日はなるべく家で健康的な食事をしたい私にとっては久しぶりのハンバーガーです。

しかし店に着くと、お昼時ということもあってレジには長蛇の列ができていたのです。並ぶのは嫌だなと感じた時に思い出したのが、近所に新しくできたハンバーガー店でした。ファストフードとは異なる本格的な味わいが楽しめると、ネットの評判が高いのを知っていましたが、これまで行く機会がありませんでした。

実際に行ってみると、評判通りの美味しさで、店やスタッフの感じも良く大満足でした。本格的なハンバーガーだけあって単価はファストフード店の倍以上でしたが、もう一度行きたいと思っています。

この日の私は、最初から本格的なハンバーガーが食べたいと思っていたわけではありません。今思えば、「美味しいハンバーガーを食べたい」というよりも「たまにはハンバーガーにがっつきたい!」という方が正確であったかもしれません。

最初は無意識に大手ファストフード店を選んだものの、その店のハンバーガーに強いこだわりがあった訳ではありませんでした。誰でも、ハンバーガーと言えば〇〇というように、まず頭に浮かぶ店があると思います。しかし落ち着いて考えると、新たな選択肢が浮かんでくるのではないでしょうか。ここで自社を思い出してもらえるかどうかが重要です。

ファストフード店と本格ハンバーガー店とでは明らかに提供価値が異なるにも関わらず、私の中ではそのどちらも選択肢に上がりました。どんな人でも状況次第で自社の顧客になり得るということです。

もう一度来店してもらうには

本格ハンバーガー店としては、ひょんなきっかけで訪れた私のような顧客を次の来店につなげたいと考えるでしょう。私自身もまた行きたいと思っている訳ですが、それが何故かということを考えてみると、2つの価値を感じたことに気付きます。

1つは味やボリュームというハンバーガー自体に対するものであり、もう1つは働くスタッフの感じの良さというハンバーガー以外に対するものです。「たまにはハンバーガーにがっつきたい」と、ファストフード店と本格ハンバーガー店の両方が選択肢に入る私のような人にとって、店やスタッフの感じの良さというのは、もう一度訪れる動機付けとしてとても重要だと思います。

注文を受ける時の元気な対応、会計時の何気ない会話など、行き過ぎでない適度な感じの良さが、全体的な満足度を高めていることに気付きます。妻も、ハンバーグを焼いているスタッフが、自分より年配のホールスタッフに丁寧な言葉で対応していたことに好感を持ったようです。

自社がライバルと差別化するために品質を高める努力をすることは正しい経営姿勢ですが、品質だけでなく、感じの良い店づくりがとても重要です。感じの良いスタッフの対応が、結果として、私の食事の中でハンバーガーが占めるシェアを高めることに貢献したということです。

実は、私がまた行きたいと思うもう一つの理由があります。その店にはスタンプカードがあり、次に行くとポテト増量のサービスがあるのです。美味しくて、接客も感じよく、おまけにポテトも増量になる。次に行かない理由が見つかりません。


TOMAコンサルタンツグループ株式会社 
代表取締役社長 
市原 和洋
代表メッセージはこちら

<チェックポイント>

□どんな人でも状況次第で自社の顧客になり得る
商品の品質だけではなく、働くスタッフの感じの良さが顧客満足度を高める
□顧客の次の利用につながる仕組みづくりが大切