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お客様が語りたくなる質問とは

記事作成日2025/04/08

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先日行ったTOMAの幹部研修、テーマは「顧客の課題解決~ソリューション営業力の強化に向けて~」でした。ソリューション営業とは、お客様が抱える課題や問題を把握し、その解決策を提案する営業スタイルです。私たちが本当にお客様にとって価値ある存在であるためには、お客様の立場に立って課題を見極め、その解決策を提案できなければいけません。今回は、この研修で学んだことの一部をご紹介させて頂きます。

「非・不・未」と「ニーズ」

研修が始まり最初に教わったのが、ビジネスはお客様の「非・不・未」を解決することだということでした。非とは非効率や非常識のことで、本来あるべき姿とかけ離れている状態です。そして、不とは不便や不満などお客様が満たされていない状態であり、未とは未解決や未開拓という達成されていない状態です。

当たり前のことですが、自社の商品やサービスが、このお客様にとっての「非・不・未」を解決できるものでなければ、価値を感じてもらうことはないし、買ってもらえません。

ここで、この「非・不・未」はお客様が問題を感じているものの、まだニーズとしては認識されていない状態であると理解することが重要です。お客様がニーズとして認識しているものであれば「こういうものが欲しい」とお客様自身が語ってくれますが、「非・不・未」はそうではありません。

「最近こういうことがあって…」とお客様が話してくれたことに対し、私たちの方で気づかねばならないのが、お客様の「非・不・未」なのです。お客様にとっては当たり前のことだったり、諦めてしまっていることで自覚すらされていないものなのです。

ですから、「何でこうしないのだろう」とか「何でそうしているのだろう」と私たちが素朴な疑問を持つところに「非・不・未」は存在するのです。外部の立場だからこそ感じる素朴な疑問を見過ごさず、お客様の立場に立って考えてみることが本当に大切です。

SPIN話法

お客様が自覚していなかった「非・不・未」の解決策を提案することができれば、大変喜んでもらえることは間違いないでしょう。しかし最善の提案のためには、お客様の課題を正確に把握しなければならず、お客様に語ってもらわなければいけません。そのために重要なのが私たちの質問力なのです。

SPIN話法をご存じでしょうか。お客様の「非・不・未」に隠れた潜在的なニーズを顕在化するために有効な話法で、「状況質問 Situation」「問題質問 Problem」「示唆質問 Implication」「解決質問 Need-Payoff」の4つの質問で構成されています。

少しでもお客様の課題解決を意識している人であれば、状況質問と問題質問まではできているでしょう。しかしこの段階では、お客様は問題を感じながらも、まだ解決すべき課題とまでは捉えていません。

次の示唆質問が潜在ニーズを顕在化するための大事なステップなのです。例えば「その問題は〇〇にどんな影響を与えますか?」と質問します。そうすることで「このまま放置しておいていいのだろうか?」と相手に考えさせることができるのです。

そして「もし〇〇のように改善できたら、どんな利益が考えられますか?」という解決質問で、お客様自身に課題が解決した時の利益を語ってもらいます。ここまでくると、お客様の中でニーズがはっきりと認識され、皆さんの商品・サービスについての説明を聞きたくなっていることでしょう。

私たちがお客様にとって本当に価値ある存在であるためには、単なる御用聞きではなく、お客様の課題に寄り添ったソリューション営業力の強化が欠かせません。上手な質問でお客様の課題を把握することは、ビジネスパーソンにとって必須のコミュニケーション能力なのです。

※当コラムで紹介した研修は、株式会社インソースの講師派遣型研修を幹部向けにアレンジして開催したものです。


TOMAコンサルタンツグループ株式会社 
代表取締役社長 
市原 和洋
代表メッセージはこちら

<チェックポイント>

□ビジネスとは、まだニーズとして認識されていない「非・不・未」を解決すること
□素朴な疑問を見過ごさず、お客様の立場に立って考えてみる
□SPIN話法の習得などソリューション営業力の強化で、自社の価値向上を目指す