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社長のブログ ~100年続く企業を創る~

100年企業を目指すということ

記事作成日2024/06/06

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「100年企業」という言葉を聞いて、皆さんはどんな会社を想像するでしょうか。時代に合わせて変革し続けている会社かもしれませんし、昔ながらの経営を続けている会社かもしれません。

それでは自社の100年後については想像したことがあるでしょうか。自社を今よりもっと良い会社にするために、私たち経営者は現場で起こる小さな出来事と同時に会社全体にも注意を払うことが必要です。そして、100年企業を目指すからこそ気づくこともあるのです。

全体と部分

私たちは、世の中のあらゆるものはその全体を部分に分解して考えることができると思っています。例えば1台の自動車は約3万個の部品からできていると言われますが、それぞれの部品が集まってエンジンとなり、ボディやシャーシと組み合わさって最終的に自動車という全体になります。

つまり、一つ一つの部品やエンジンは、自動車という全体からみれば部分であるということになります。ここで、もともとはバラバラな部分であっても、抽象度を引き上げ一つ上の視点から見ることで現れる全体は、単なる部分の寄せ集め以上の意味や性質を持つことに気づくのではないでしょうか。

運転という行為は、自動車という全体になって初めてできることであり、部品の集まりであること以上の価値があるということです。

また経済学には「合成の誤謬(ごびゅう)」という言葉があります。多くの個人が貯蓄に励むと、社会全体で見ればお金の流れが悪くなって経済の悪化につながるように、部分の視点では正しいと思われることでも、全体の視点でみると意図しない結果をもたらすということです。

このことからも、全体に見られる意味や性質は、部分におけるそれとは異なるものであることが分かると思います。

会社も同様です。新商品を開発する、人を採用して育てる、営業活動や投資活動といった様々な企業活動は、会社という全体から見れば部分なのです。私たちは目の前の課題という部分に目を向けるだけでなく、会社という全体にも注意を払わなければいけません。

全体は部分の総和以上の意味を持つものであるからこそ、全体に意識を向けない限り理想の会社像を描くことはできません。そして、全体を意識しながらそれぞれの部分を上手く統合しようとすることで、理想の会社に近づいていくのです。

明るく元気な100年企業

会社という全体に注意を払うことが大切であるとして、それを100年という時間軸で考えることにはどのような意味があるでしょうか。このことについては、自分の人生に置き換えてみることで分かることがあります。

人生100年時代と言われますが、皆さんはどんな姿で100歳を迎えたいでしょうか。もし、明るく元気な100歳になりたいと考えるなら、そのために今から大切にしなければならないことが明らかになってきます。

健康が大切であることに気づくでしょうし、人間関係や新たな学びの大切さ、お金の大切さに気づくと思います。そして、考えるのが長期的な未来であればあるほど、日々の積み重ねや基本が大切であることに気づくのではないでしょうか。

100年企業も同様です。継続企業として単に100年続くことでなく、「明るく元気な100年企業」になろうと思うからこそ、大切にすべきことや取り組むべきことが明らかになるのです。5年先や10年先の未来を考えることとはまた違った気づきがあるからこそ、100年という時間軸で考えてみることが重要だと思うのです。

私たち経営者は、部分だけでなく全体に、今だけでなく遠い未来にも意識を向けなければいけません。特定の課題に意識が向けられているとき、私たちはそれ以外のものを無意識に追いやってしまいます。だからこそ、意識して視点を上げたり下げたり、時間軸を伸ばしたり縮めたりしながら会社全体を構想しなければいけないのです。そしてこれは経営者にしかできないことなのです。

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 
代表取締役社長 
市原 和洋
代表メッセージはこちら

<チェックポイント>

□「全体」には部分の集まりであること以上の価値がある
□自社の100年後を想像し、日々の積み重ねや基本を大切にする
□意識して視点を上下させたり、時間軸を伸縮しながら会社全体を構想する