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コンセプトから始めよう!

記事作成日2024/03/01

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今年の正月、私は妻と愛媛県の大洲へ一泊二日の旅行に行ってきました。何故、大洲を選んだのか。妻の実家から車で足を延ばせば行ける距離であったということもありますが、実は大洲という場所が目的だったのではなく、旅行の目的であったNIPPONIAというホテルの場所が大洲だったのです。

結果として大変満足度の高い旅行となったのですが、今回は何故、私たちがそのホテルを選ぶことになったのか、その背景をお伝えしようと思います。

コンセプトの存在

私たちが正月旅行を計画しホテルを予約したのは10月でした。妻の実家は兵庫県ですが、実家に立ち寄った後、そこから行ける範囲で目的地を決めようということになり、これまで行く機会の少なかった四国を選んだのです。

しかし、四国のどこに行けば良いか分からない。「観光もいいけど、ゆっくりしたいね」などと話をしながら旅行サイトを見ていた私たちの目に留まったのが、「NIPPONIA HOTEL大洲 城下町」でした。

そこには、「愛媛・大洲城下町で歴史を巡るタイムスリップしたような非日常体験」という見出しと共に、どこか懐かしい、昔ながらの瓦屋根の建物の画像が掲載されていました。口コミの評価も高い。NIPPONIAというホテルに興味を持った私は、次にホテルのWebサイトも見てみました。

「なつかしくて あたらしい 日本に滞在する」というコピーと共に全国にある施設が紹介されています。どこも文化財や古い邸宅をリフォームしたつくりで地域の風景にすっかり溶け込んでいます。昔懐かしい日本の風景を体感することを目的とし、ホテルでも旅館でもない新しい滞在のかたちを提案しているということが良く分かりました。

そこには「郷にいること」というNIPPONIAの一貫したコンセプトがあったのです。このコンセプトに、他にない差別化された価値を感じた私たちは、「非日常は味わいたいけど、できればゆっくり過ごしたい」という潜在的な欲求(インサイト)に気づかされ、結果として大洲を訪れることになったのです。

実際にホテルに滞在してみると、スタッフによる過剰なおもてなしはありませんし、部屋にテレビもありません。しかし建物は一見古いものの清潔感にあふれ、とても気持ちよく滞在することができました。初めて訪れたはずの大洲の町並みや風景にも懐かしさが感じられ、まさに日本の郷に滞在するという体験をしてきました。

コンセプトとは何か

コンセプトというものについて、皆さんはどのように理解しているでしょうか。一般にコンセプトは概念と訳されますが、ビジネスにおいての定義は「全体を貫く新しい観点」です。

単なる概念ではなく、新しい価値を端的に表現したものであり、つくるもの全体に一貫性を与え、そのビジネスに関わる人にとって明確な判断基準となるべきものです。新しい観点という意味では、イノベーションに通ずるものでもありますし、顧客が価値を感じ共感してもらうには、顧客のインサイト(まだ満たされていない、隠れた欲求)に基づくものでなければいけません。

つまりコンセプトは、顧客のインサイトを見極めようとする中で生まれた新たな発想を、イノベーションという新しい価値に結びつけるために欠かせないものなのです。



皆さんの事業や商品にコンセプトは存在するでしょうか。それは新しい価値として他社と差別化されたものになっているでしょうか。

コンセプトをつくり、また既存のコンセプトに磨きをかけることが自社に新たな観点をもたらすことになり、イノベーションのきっかけになるのです。そしてコンセプトが明確になるということは、同時にそのビジネスに関わる者たちの日々の仕事に意味を与え、拠り所をつくることにもなるでしょう。

コンセプトから始めてみませんか。

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 
代表取締役社長 
市原 和洋
代表メッセージはこちら

<チェックポイント>

□優れたコンセプトは差別化された価値を生み、商品・サービスの選択基準となる
□コンセプトをつくること、磨きをかけることは、自社に新たな観点をもたらす
□明確なコンセプトは、日々の仕事に意味を与え、拠り所をつくる

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