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事業承継における株主の構成と種類株式の活用

記事作成日2017/05/30 最終更新日2022/09/21

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事業承継時に、どのような株主構成にするか、株主にはどのような権利を与えるか、親族外の役員や従業員にも株を与えるか、について検討しましょう。

株式と株主

経営権としての株式

株式を保有している方は株主であり、株主はいわば会社の「オーナー」です。株主はオーナーとして、役員の選任などの重要事項を決議する権限や、配当を受け取る権限などがあります。

そのような権限を有する株主を親族だけで構成するのか、親族ではない役員も株主にするのか、従業員や社外の第三者も含めるのか、ということを検討しましょう。それぞれメリット・デメリットがありますので、会社の課題と将来の展望を見据えた上で株主構成を検討します。

財産としての株式

会社の財務状況によって株式の時価が算出されます。上場企業の場合は、取引価格によって価格が決まります。株式を保有するということは、それだけの財産を保有することになります。株式を他の方に譲渡する場合、株式を相続する場合も、金銭等の財産の譲渡、相続と同じような注意が必要です。

贈与税や相続税が発生することがありますので、どのタイミングでどれだけの株式を移動するかについては、慎重な検討が必要です。

株主の構成を検討するポイント

以下のポイントをもとに、どのような株主構成にしたいかについて検討しましょう。

会社の最重要事項(定款変更、合併、M&A、解散など)は誰がきめるか
→親族だけか、親族ではない役員も含むか

定期的に配当を支給するか
→支給する場合、役員や従業員にも支給するか
→役員や従業員に支給する場合、他の株主と支給比率を変えるか

親族外の役員が能力を発揮するための体制づくりをどうするか
→株式を保有してもらい、最重要事項の決定にも参画してもらう
→株式を保有してもらい、配当を支給する
→株式を保有する方法以外の方法で対応する

種類株式の活用

 種類株式は、以下のとおり9種類設定されています。これらのうち、いくつかを組み合わせて一つの株式とすることも可能です。

<種類株式の種類>

①剰余金配当優先(劣後)株式
②残余財産分配優先(劣後)株式
③議決権制限株式
④譲渡制限株式
⑤取得請求権付株式
⑥取得条項付株式
⑦全部取得条項付種類株式
⑧拒否権付株式
⑨役員先任権付株式

<導入例>

例)役員持株会、従業員持株会:無議決権株式+配当優先株式

ベンチャーキャピタル:配当優先株式
現経営者:拒否権付株式(黄金株)

種類株式導入の手続き

種類株式を導入し、発行する際は、以下の手続きが必要です。

①株主総会で定款変更決議
②株主総会、取締役会で種類株式発行の決議
③種類株式の設定と発行について、登記する

属人株の活用

定款で定めることで、以下の3つの権利につき、株主ごとに異なる取り扱いをすることができます。

①剰余金の配当を受ける権利
②残余財産の分配を受ける権利
③株主総会における議決権

<導入例>

事業承継の場面:経営者の代表取締役引退時に、株式1株だけ保有し続け、後継者が育つまで(たとえば3年間)1株あたり1000個の議決権を与える。

属人株導入の手続き

属人株を導入する際は、以下の手続きが必要です。

①株主総会で定款変更決議(特殊決議)
※登記不要

種類株式・属人株の検討

どの種類の株式をどのように導入するかは、各会社の実情や今後の展望に応じて慎重に検討する必要があります。特殊な株式を導入する際は、税理士等の専門家を交えて、長期的な計画のもとに実行してください。