この記事では、古物商の許可を申請するためにはどういった手続きを行えばよいか、どういった書類が必要になるかについて解説します。また、古物商とは何を指すか、許可が必要になる対象等についても記載いたしますので、ぜひご確認ください。
古物商とは
古物営業法に規定される古物を売買または交換する業者・個人のことを指します。古物商として事業を行うためには、営業所を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。許可を受けずに営業した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられることがあります(古物営業法第31条)。
古物とは
古物とは、「一度使用された物品、もしくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手を入れたもの」と規定されています(古物営業法第2条)。中古品、使用する目的で購入したものの一度も使用していないもの、それらを修理等したものです。
古物商許可が必要となる対象
古物は、古物営業法施行規則第2条により、以下のとおり13品目に分類されます。
①美術用類(書画、彫刻、工芸品等)
②衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
③時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
④自動車(その部分品を含む)
⑤自動二輪車・原付(これらの部分品を含む)
⑥自転車類(その部分品を含む)
⑦写真機類(写真機、光学器等)
⑧事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
⑨機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)
⑩道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
⑪皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
⑫書籍
⑬金券類(商品券、乗車券及び郵便切手等)
管理者の専任
古物商を営むにあたり、営業所毎に管理者を1名選任することが義務付けられています(古物営業法第13条1項)。管理者とは、「営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者」と規定されており、店長等の現場責任者を指します。古物商自身が管理者を兼ねることもできます。
また、管理者には、営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するため、常勤していることが求められます。大阪に住んでいるのに、東京の営業所の管理者となることは、常勤性を満たしていないと評価されます。そのため、管理者となる者の居住地は、営業所に通勤できる範囲内であることが求められます。その他、未成年や破産者などの欠格事由に該当しないことも要件となります(古物営業法第13条2項)。
手続きの流れ
定款の確認
会社が古物商許可申請をする場合、定款の事業の目的に「古物営業法に基づく古物商」の記載の有無を確認しましょう。会社は、定款に定めた事業しか行えませんので、記載のない場合は、事業目的を追加する必要があります。株主総会にて定款変更の決議を行い、定款変更登記をしましょう。
後述する必要書類を集め、許可申請書を作成しましょう
古物商許可申請をする際、行商をするか否か選択する必要があります。行商とは、古物商が営業所以外の場所で古物の営業を行うことをいいます。出張買取など営業所以外で売買を行う場合は、「行商をする」を選択しましょう。
ホームページを用いて古物商を営業したい場合は、古物商許可申請をする際にURLの使用権限があることを疎明する資料を提出しなければなりません。資料としては、プロバイダが発行したドメイン割当通知書やドメインの登録情報を検索できるWhois検索による検索結果を出力したものになります。いずれも、ドメイン登録者と古物商名が同一でなければなりません。
古物商許可の申請をしましょう
古物商許可申請の窓口は、営業所を管轄する警察署(防犯係)になります。予め警察署に連絡を入れ、申請日時を予約しますとスムーズに手続きできます。申請の際、手数料として1万9000円かかります。審査期間は、概ね2か月です。
審査が終了したら、警察から古物商許可証を受け取りましょう。古物商の許可に更新制度はありませんので、一旦許可されれば半永久的に営業できます。
ただし、古物商許可証に記載されている内容に変更があった場合は、書換申請が必要となりますし、役員や管理者が変更したなど古物商許可証に記載されていない内容に変更があった場合は、変更届出が必要となりますので、気を付けましょう。
必要な書類(会社申請の場合)
・古物商許可申請書(警察のホームページからダウンロードできます)
・定款の写し
・会社謄本(履歴事項全部証明書)
・役員の略歴書(警察のホームページからダウンロードできます)
・役員の誓約書(警察のホームページからダウンロードできます)
・役員の住民票(本籍地記載のあるもの)
・役員の身分証明書(本籍地のある役所で発行してもらえます)
・管理者の略歴書(警察のホームページからダウンロードできます)
・管理者の誓約書(警察のホームページからダウンロードできます)
・管理者の住民票(本籍地記載のあるもの)
・管理者の身分証明書(本籍地のある役所で発行してもらえます)
・URL疎明資料(ホームページを開設して取引を行う場合やオークションサイトに出店する場合に限ります)
まとめ
古物商許可申請の流れは以上のとおりです。定款の変更や公的書類の収集等、慣れない作業が必要になりますので、専門家に手続きを依頼した方がスムーズに進みます。
TOMA行政書士法人では、古物商をはじめ許認可申請に関するサービスを提供しています。許認可申請をお考えの法人の方は、ぜひお気軽にご相談ください。