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【失敗しないために】いまさら聞けない一般社団法人の社員総会・理事会の種類や開催方法を教えます

記事作成日2025/10/15

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一般社団法人の運営において、社員総会や理事会は重要な意思決定の場です。しかし、準備や運営には手間や課題が伴い、「法令に遵守した形で、効率的に進めたい」といった声が多く聞かれます。

TOMAでは、これまで数多くの一般社団法人様の社員総会・理事会運営をサポートしてきました。今回のブログではその経験を活かし、実務に即した効率的な開催方法を解説します。

スムーズな社員総会・理事会のヒントが得られると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

いまさら聞けない!社員総会の種類をおさらい

まずは社員総会についておさらいしましょう。

社員総会には、定期的に開催される「定時社員総会」と、必要に応じて招集される「臨時社員総会」が存在します。これらの総会は、法人の運営における重要な意思決定の場であり、法令に則り厳格に執り行われることが求められます。

定時社員総会は、各事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければならないものと規定されており、具体的な時期は法律で明示されていないものの、一定の時期に招集することが要請されています。この場では、決算の承認や役員の選任、定款の変更など、法人の根幹に関わる議題が審議・決議されます。

一方、臨時社員総会は、理事会の決議があった場合や、総社員の議決権の10分の1(5分の1以下の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員からの請求があった場合など、特別な事情に応じて招集されます。

定時社員総会と臨時社員総会の違い

定時社員総会臨時社員総会
招集時期毎事業年度終了後、一定の時期に招集必要に応じて随時招集
主な議題決算承認、役員選任、定款変更など特定の議題(緊急・特別な案件など)
招集権者理事(理事会がある場合には理事会)理事(理事会がある場合には理事会)/総社員の議決権の10分の1(5分の1以下の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員からの請求
法的根拠法律により開催義務あり法律により請求・招集が可能

TOMAがサポートしてきた社員総会・理事会開催における「よくある困りごと」

社員総会の運営にあたり、次のようなお悩みを抱えていませんか?

・定足数を満たす出席者の確保が難しい
・招集通知や議事録作成の方法が分からない
・開催時期やスケジュール調整が煩雑
・みなし決議の活用方法が分からない

これらは、TOMAが長年のサポート経験の中で実際にお問い合わせいただいた課題です。こうした悩みを一つひとつ解決するための具体的な方法やポイントを分かりやすくご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、社員総会運営の不安を解消してください。

社員総会の進め方のポイントを解説

お悩み1 定足数を満たす出席者の確保が難しい

社員総会の決議には、定足数と決議要件が定められています。普通決議の場合は、定款に特別な定めがない限り、原則として、総社員の議決権の過半数を持つ社員が出席し、その出席社員の議決権の過半数によって決議が行われます(法人法49条1項)。

なお、定款で出席社員の定足数を緩和することは可能ですが、決議要件自体を軽減することはできません。

一方、特別決議については、法人法49条2項により、総社員の半数以上の出席と、総議決権の3分の2以上(または定款で定めたより高い割合)の賛成が必要とされています。

こうした要件を踏まえると、社員数が多い場合は、社員総会の定足数を満たす出席者を確保することが課題となっています。

その解決策の一つが、委任状による代理出席の活用です。

これは、社員総会に出席できない社員が他の者に出席を委任する制度であり、社員総会に出席することができない社員の議決権行使の機会を確保し、社員の意思を反映させることや、社員総会の運営を円滑に進めることを目的としています。代理出席者は、委任者の議決権を行使できるため、委任者の代わりに投票することが可能です。

原則として代理出席は認められていますが、定款によっては代理人の範囲や、代理人による議決権行使に制限を設けている場合があります。そのため、事前に定款を確認しておくことが重要です。

お悩み2 招集通知や議事録作成の方法が分からない

招集手続きは、理事会設置法人の場合、理事会決議に基づいて理事(通常は代表理事)が招集通知を発して行われます。

通知には、社員総会の日時、場所、議題を明記する必要があります。理事会設置法人の場合、通常1週間前までに通知しなければなりませんが、書面または電磁的記録の方法による議決権の行使を認める場合(法38条1項3,4号)、2週間前までに通知する必要があります。

議事録は、社員総会での議論や決議内容を記録する極めて重要な文書です。

社員総会の日から10年間、法人の主たる事務所に備え置く義務があり、後のトラブル防止や法的根拠の証明にも役立ちます。正確に作成するためには、出席者や議題、決議事項などを漏れなく記載し、事実と異なる記述や曖昧な表現を避けることが大切です。

また、議事録の内容は必ず複数人で確認し、署名や押印を忘れずに行いましょう。こうした点に注意することで、信頼性の高い議事録を作成することができます。

お悩み3 開催時期やスケジュール調整が煩雑

スケジュール調整の煩雑さは、ITツールの活用や定款や規程等の運営ルールの見直しで大きく軽減できることがあります。

また、遠方の役員や多忙なメンバーがいる場合、オンライン会議システムを活用することで、物理的な移動の負担を減らし、参加率向上につながります。

小さな工夫の積み重ねが、組織全体の効率化と円滑な運営につながります。

お悩み4 みなし決議の活用方法が分からない

みなし決議(書面決議)とは、社員総会を実際に開催せず、書面や電磁的方法を通じて決議を行う方法です。

この場合、提案内容に対して社員全員の同意が必要であり、全員が書面で賛成の意思を示すことで初めて成立します。

書面決議は、全社員の同意が得られない場合は決議があったものとみなされないため、決議内容を事前に社員に提示し、全員が内容を十分に理解できるよう準備しておくことが重要です。

また、理事会についても同様に、理事全員が書面や電磁的方法で同意すれば、理事会を開かずに決議を成立させることができますが、この場合は定款にみなし決議が可能である旨の規定が必要となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
社員総会や理事会の開催は、一般社団法人の運営において避けては通れない重要なプロセスです。適切な準備と手続きを心がけることで、スムーズな運営が実現できます。

TOMAでは、これまで長年に渡り、多くの法人様のサポートを通じて培ったノウハウを蓄積してきました。以下のような具体的な支援を行っています。

・招集通知や議事録などの添削・作成支援
・社員総会や理事会のシナリオやスケジュール作成
・開催方法やみなし決議に関するご相談対応
・社員総会・理事会の運営全般に関するご相談対応

など、具体的なご提案も可能です。ご不安な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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