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永住ビザの条件とメリット・デメリットとは?

記事作成日2020/05/29 最終更新日2020/09/11

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永住ビザの必要条件とは

①素行が善良であること

日本の法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることをいいます。

具体的には、素行が善良であるとはいえない者として、以下を掲げています。

ア 日本国の法令に違反して、懲役、禁固又は罰金に処せられたことがある者
イ 少年法による保護処分(中略)が継続中の者
ウ 日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者

上記の内、アに関わるものが、素行不良と判断される最たるものといえます。

しかし、仮に前科があっても、永遠に永住が許可されないわけではありません。懲役又は禁錮については、その執行を終わり、もしくは免除を得た日から10年(罰金については5年)を経過した場合等は、上記から除かれているため、その後の生活態度等によっては、永住が許可される可能性も十分にあります。

②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることをいいます。

「公共の負担」とは、生活保護等の公的扶助を指すと考えられており、申請時点で生活保護を受けているような外国人に日本への永住を認めると、将来にわたって日本国の公的負担となるため、その影響を考え条件とされています。

「将来において安定した生活」については、収入が安定的・継続的に発生しているか否かということですが、これは必ずしも申請人自身に完備している必要はなく、その者が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定性が認められれば足ります。

例えると、仮に申請人自身が定職に就いていないとしても、その者と同一世帯の配偶者や親等に十分な収入があれば、世帯単位で独立生計要件を満たすと判断されることになります。

③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

具体的には、下記の要件となります。

ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。

イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。

エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

特に注意すべき点は、アの条件です。

永住許可を得るためには、原則として、引き続き日本に10年以上在留し、このうち就労資格をもって5年以上在留していることが求められています。

例えば、留学生として日本に入国し日本語学校→専門学校・大学に通い、その後日本で就職し5年以上働いてから、やっと永住申請の資格が与えられます。
なお、アルバイトとして働いても就労経験にはなりません。
基本的に転職していても問題はなく、前職と現職の会社での就労経験は合算可能ですが、直近1年に転職していると安定性がないとして不許可リスクが高くなるので注意が必要です。

また、「引き続き」とあることから、来日からの年数がカウントされるだけではなく、在留の継続性も要求されています。
たとえば、在留期間中に中長期的(年の半分以上を海外で生活する等)な出国が生じてしまった場合には、日本に生活の本拠がないとされ、永住許可されない可能性があります。

また、再入国許可を受けずに出国したり、海外滞在中に再入国許可(みなし再入国含む)が失効したりすると、在留資格自体が消滅してしまうため、在留実績はリセットされてしまいます、
ただし、直ちに「引き続き居住していた期間」がリセットされるわけでなく長期出国の理由・過去の出国期間・日本にある資産の状況(不動産を持っているか)家族の状況(子供が日本の学校に通っているなど)・今後の日本における活動及び生活の計画などを含めて総合的に判断されます。

原則の要件としては、継続して10年以上日本に住んでいることが必要ですが、次のような場合はそれが緩和されることになっています。

ⅰ)日本人と結婚している場合

配偶者が日本人もしくは永住権を持つ人物・特別永住者の人物だった場合、結婚3年以上かつ1年以上日本に在留していることが条件になります。書類上、婚姻関係にあればいいわけではなく、実体が伴った結婚かどうかが重要です。夫婦として3年以上過ごし、1年以上日本に暮らしていれば、10年以上の在留の必要はなくなります。
また、配偶者が日本人などの場合は、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、2つの要件が適用されません。夫婦は一緒に生活するべきとの考えから日本人と結婚している方は永住ビザの条件が他の場合より緩やかに設定されています。

ⅱ)在留資格「定住者」の資格を持つ場合

日系人や難民、日本人の配偶者等と死別や離別をした外国人などを対象にした在留資格として、「定住者」という資格が存在します。この資格を5年以上継続し、日本に滞在している場合日本での在留年数の条件を満たすことになります。

ⅲ)難民の認定を受けた場合

難民の認定を受けた人は、認定を受けてから5年以上継続して日本に在留していれば日本での在留年数の条件を満たすことになります。

ⅳ)外交や社会、経済などの分野で日本への貢献があったと認められた場合

様々な分野で日本に貢献した人物は、5年以上日本に在留することで永住権の取得を目指せます。具体的には、ノーベル賞やフィールズ賞といった、権威ある賞を受賞した人は日本へ貢献があったとして認められます。
他にも日本政府から国民栄誉賞や文化勲章などをもらった人、政府や自治体から委員として任命を受け、3年以上公共の利益を目的とする活動を続けた人、地域活動の意地や発展に貢献した人も対象です。
他には、外交分野や、経済産業分野、文化芸術分野、教育分野、研究分野、スポーツ分野などで日本に貢献できれば、永住権が認められる可能性があります。
しかし、申請の際には「貢献」の具体的な内容を伝えなければなりません。学会誌などに登場した場合はその名称や発刊日、活動を明らかにする資料などを永住権の申請書と一緒に提出が必要です。

Ⅴ)高度専門職の場合

高度専門職70点以上として3年以上日本に在留している場合は日本での在留年数の条件を満たすことになります。また、高度専門職80点以上として1年以上日本に在留している場合も、同様に条件を満たします。

永住権を得るメリット・デメリット

メリット

・ビザの更新手続きが不要
在留期間に応じてするビザの更新手続きが不要になります。

・在留活動に制限がない
永住権がない場合に活動内容を変更しようと思うと、在留資格変更許可申請書を提出しなければなりません。また、在留資格に応じて、できる活動に制限があります。永住権を得ると活動内容を制限されなくなりますから、日本で活動する際の自由度が格段に高くなります。

・日本での社会的信用の増加
永住権を持っているということは、日本で長期間暮らしてきた証拠ですから、ローンや融資を利用する際などにも有利になります。

・配偶者と死別、離別しても在留資格に影響なし
配偶者である日本人と死別、離別すると、日本人の配偶者等のビザの方は、ビザの変更をしなければなりません。しかし、このような場合には、ビザの更新が難しくなることが多く、ビザ更新が出来なくて帰国してしまう方もいます。一方、永住権を取得していれば、そのような手続きは不要です。

・在留特別許可の可能性が高い
万が一、退去強制事由に該当してしまった時に、永住権を取得していると、入管法50条の法務大臣の裁決の特例として、在留特別許可が得られる可能性が高くなります。

デメリット

・海外に行く際に一定期間内に日本に戻る必要がある
特定の期間内に日本に帰国しなければならず、なおかつ母国にいる際も外国人として活動内容が制限され、滞在日数に規定があればそれに従わなければなりません。

・母国に帰省する際にビザが必要になることもある
出身国の法律によっては、帰国する際にもビザが必要になります。

・高度専門職の場合、優遇措置や親の呼び寄せの条件を満たさなくなります。