世界には様々な国があり、その国によって言語、文化、価値観など日本と違う点が多くあります。
物価や貨幣価値が異なる外国人を採用している企業が給料額を決定する場合、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
■労働基準法において外国人・日本人の違いはない
労働基準法とは、給料の適切な支払いや適正な労働時間など、労働者が安心して快適に働ける環境整備を目指して制定されている法律です。
この法律では、国籍や宗教などによって差別的扱いをしてはいけないと厳しく定めています。
従って、就労ビザを取得している外国人が日本企業で働いている場合、「現状では日本語のコミュニケーションが難しいから、上達してから日本人と同じ給与水準にしよう」という雇用主の考えは差別的扱いと見なされてしまいます。
日本人と同じ雇用形態であれば、同じ給与水準・労働条件にしなければなりません。
■最低賃金水準にも注意が必要
労働基準法の中には、労働者が人間的な最低限の生活ができるように定めた賃金の基準として「最低賃金水準」があります。
最低賃金には、都道府県ごとに決められている地域別最低賃金及び業種ごとに決められている職種別の2種類があります。
なお、最低賃金額を計算する際には、通勤手当や家族手当、残業・休日手当などを除いて計算しなければなりません。
■外国人に給料を支払う際の注意点
企業が従業員に給与を支払う上で認識しておきたいのが「賃金支払いの5原則」です。
1つずつ確認していきましょう。
1.全額払いの原則
労働の対価である賃金は、当然のことながら働いた分の賃金を全額支払わなければなりません。
ただし、所得税や住民税、社会保険料等は給与から控除することが認められています。
2.通貨払いの原則
賃金は現金で支払うこととされています。小切手や現物支給などは認められません。
3.直接払いの原則
本人が入院中で受け取れないなどの場合は家族が代理として受け取ることができますが、原則として賃金は本人に直接支払わなければなりません。
4.毎月1回支払いの原則
賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。
なお、奨励金や賞与は例外となっています。
5.一定期日払いの原則
賃金の支払日は毎月20日というように支払日を特定しなければなりません。
支払日が休日と重なる場合は、繰り上げまたは繰り下げて支払うことも認められています。
同じ職場で働く同僚として、日本人と外国人が協働していくことが重要です。
日本では常識的であることが海外では違う場合もあります。
外国人を雇用している場合、賃金をはじめとする労働条件について、本人にきちんと説明しておくことでトラブルを防ぐことができるでしょう。