日本で会社を経営したいと考える外国人が増えています。
また、外国人を会社の役員に就任させたいという場合もあります。
外国人が経営者、あるいは役員である場合に必要なのが「経営・管理ビザ」です。
以前は「投資・経営ビザ」と言われていましたが、2015年4月の入国管理法の改正で「経営・管理ビザ」に変更されました。
■経営・管理ビザとは
一般的に「経営・管理ビザ」と呼ばれていますが、正しくは在留資格の一つである「経営・管理」という資格のことです。
この在留資格を持つことで、外国人が、日本で事業を経営したり、管理する仕事を行ったりすることが認められます。
以前の投資・経営ビザは、外国からの投資が要件にありました。
また、その会社の謄本を提出する必要があったため、会社の設立後にしか申請できませんでした。
しかし、法改正によって、外国資本の要件がなくなり、日本の企業の役員に就任する場合でも経営・管理ビザが取得できるようになりました。
また、会社設立前でも申請できるようになりました。
以前は、資格を取得するための要件が厳しく手続きも煩雑だったため、日本への進出の妨げになっていましたが、法改正で要件が緩和されています。
■経営・管理ビザの取得や更新に必要な要件
経営・管理ビザは、日本に会社を設立したり、出資したりするだけで自動的に要件を満たすことができるわけではありません。
経営者となる場合と管理者になる場合では、取得の要件が異なります。
まず、経営者となる場合は、事務所を日本に置く必要があります。
また、事業規模が、常勤職員を2人以上雇用している、あるいは資本金または出資金が500万円以上であること、さらに、その事業の事業計画が立てられており安定性が認められることなどが必要です。
管理者となるためには、その事業について3年以上の経験が必要であると同時に、日本人と同等以上の報酬を受けることが必要です。
また、経営管理ビザを取得したとしても、在留期限が定められているため更新が必要です。
更新が認められるためには、事業の継続性が重要です。
法務省入国管理局のガイドラインによると、事業の継続性の認定に当たっては、単年度の決算状況で判断されるのではなく、直近二期分の決算状況によって判断されることになっています。
■経営・管理ビザの取得に必要な書類と手続きの方法
経営・管理ビザを取得するための必要書類として、在留資格認定証明書交付申請書に、3カ月以内に撮影された写真を貼付して提出する必要があります。
また、所属機関の区分に応じてカテゴリーが定められているため、それに応じた書類が必要になります。
例えば、日本の証券取引所に上場している企業であれば、会社四季報の写しまたは日本の証券取引所に上場していることを証明する文書が必要です。
申請人が日本法人の会社役員に就任する場合は、役員報酬を決議した株主総会の議事録が必要になります。
また、申請人が管理者として雇用される場合は、その事業について3年以上の経験があることを証明する書類や、労働条件を明示する文書などが必要になります。
さらに、提出書類が外国語で書かれている場合は、日本語に翻訳した書類の添付も必要です。
経営・管理ビザの取得は、以前と比べ緩和されたとはいえ、煩雑な手続きが必要です。
書類の不備があると、不許可になってしまいます。
日本人のパートナーがいない場合は、特に手続きに戸惑うかもしれません。
その場合は、民間の法律事務所や行政書士事務所など専門家に相談するとよいでしょう。