雇用契約書は企業と労働者が交わす契約を内容とする書面ですが、外国人労働者を雇用する際にも交わした方がよいのでしょうか。
ここでは、外国人を雇用する際の雇用契約書の必要性やポイントを紹介します。
■雇用契約書の必要性
雇用契約書を作成することにより、トラブルを防ぐ効果が期待できます。
会社と従業員の間で、労働条件が食い違うということで紛争になることはよくありますが、この問題の多くは労働条件について書面ではなく、口頭で約束が行われていることが原因です。
これは日本人同士でも起こる問題であり、言語や文化が異なる外国人との間ではなおさらトラブルが増加する危険が高まります。
また外国人は一般的に契約意識や権利意識が高いので、労働条件などを詳細に記載した雇用契約書を用意することは、その企業に対する信頼感を増すことに繋がります。
■記載するべき項目
雇用契約書に記載する内容としては、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。
絶対的明示事項は労働契約の期間や契約更新基準、賃金などです。トラブルを防ぐためには、疑義が残らないように詳細に、明確に記載することが大切です。
相対的明示事項はボーナスや退職手当などのことですが、リスク対策の面から秘密保持や競業避止義務の事項を追加することをおすすめします。また、近年では個人情報の漏えいなどについての意識が高まっているので、個人情報の保護についての規定も記載しておくことをお薦めします。
外国人労働者との間でも雇用契約書を交わすことで、労働条件について理解をしてもらうことが可能となります。
■雇用契約書を交わすときに注意すべき点
雇用契約は当事者の意思の合致により成立します。これは外国人を雇用する場合も全く異なりません。企業と外国人が意思表示を行い、その意思が合致することにより成立します。
しかし、この雇用契約が有効に成立するためには、外国人側が労働条件の内容を正しく理解していることが必要となります。企業と外国人側で意思の疎通を図るために、母国語の雇用契約書を用意するなどの工夫が大切です。
その外国人が日本語を理解できる人物だとしても、労働条件の内容などを完全に把握していないこともあります。そのような場合には、「この契約内容を理解して契約をしました」などの文章を追加することでトラブルを防げます。
せっかく雇用した外国人労働者とトラブルになってしまうことは、企業と外国人労働者の双方にとってデメリットとなるでしょう。雇用契約書を交わすことにより、お互いにより良い関係を築くことが期待できます。