外国人が日本で働いたり学校に通うために、なくてはならない「在留資格」。在留資格の認定は、受け入れる企業や団体が、本人に代わって申請します。ここでは、資格取得までの流れ、また在留資格変更の手続きを詳しく紹介します。次のような外国人を本国から呼び寄せたり、留学生を雇用したいといった企業に、特に役立つ情報です。
・外国人国際業務担当者
・外国人技術者
・外国人コック/調理人
・外国人医師
・語学学校の講師
・その他外国人労働者
また、配偶者、子どもなど、家族を日本に呼び寄せ、一緒に住みたいと考えている方も、ぜひご覧ください。
目次
在留資格とは「○○するために日本に長期滞在してよい」という国のお墨付き
日本で長期間在留したり、働くことができる外国人を認定する資格です。就労や学業などの目的で長期滞在する場合は、滞在中の活動内容を申請し、在留資格を取得します。在留資格を得れば、「○○○の活動をするために日本に滞在してよいですよ」と国から認められたことになるのです(「出入国管理及び難民認定法」という法律で定められています)。
詳しくは後述しますが、在留資格にはたくさんの種類があります。原則として、外国人は在留資格で認められた以外の活動で、収入を得てはいけません。留学生が日本で就職したり、外国人就労者が転職するなど、活動の内容が変われば、在留資格の種類も変更しなければなりません。
地方出入国在留管理局に申請すると、外国人が本国にいる状態で、事前に在留資格を認定してもらうことができます。証明として下記のような「在留資格認定証明書」が交付されます。
在留資格を事前取得するメリットは、ビザ取得と入国がスムーズになること
ビザ(査証)
在外日本公館(各国の日本大使館など外国人の本国にある日本の公館)が、パスポート(旅券)に対して発給します。「この旅券は有効です」、「記載された目的で日本に入国させても問題ありません」という証明です。「入国するための推薦状」などと言われています。
ビザがなければ入国はできません。ただし、日本とビザ相互免除の取り決めをしている68カ国(アメリカや韓国、ヨーロッパなど)に国籍を持つ外国人は、短期滞在で収入を得ることがなければ、ビザを取得する必要はありません。
在留資格
ビザはあくまで推薦状です。日本に入国させるか否かは、最終的に入国管理局が決定します。空港(港)で外国人が入国を認められると、同時に在留資格が与えられます。
在留資格は29種類。就労できる資格とそうでない資格がある
2023年3月現在、在留資格には29種類の在留資格が定められています。就労や就学に適合した資格の他、配偶者や永住者など、身分や地位に基づく在留資格があります。それぞれ、日本に在留する目的・活動に応じて、在留資格の申請を行います。在留資格の種類については下記をご参照ください。
正しい在留資格を取る方法は大きく3つ
在留資格を取得する方法は、ざっくり分けて以下の3種類があります。
(A)直接ビザを取る方法
日本に入国したい外国人が、直接、自分の国にある日本公館でビザを申請する。日本の空港(港)で入管の審査を受け、入国が認められると在留資格を得る。
(B)事前に「在留資格認定証明書」を取得する方法
外国人を受け入れる企業や団体(代理人)が、管轄する地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書」を申請する。取得した証明書は外国人に送付し、本人が自国にある日本公館でビザを申請する。
(C)在留資格を変更する方法
日本在留の目的が変わった場合、外国人本人又は代理人が日本の入国管理局で在留資格の変更を手続きする。
本人が外国にいる場合、受け入れる企業や学校などが、(B)の手続きを代理で行います。制度上は、本人が日本で手続きしても構いませんが、現実的にそれは大変です。申請先は、企業がある地域、外国人が日本で住む地域を管轄する入国管理局です。
すでに、日本に長期在留している外国人を雇用する場合は(C)。留学生が就労する場合、外国人就労者が転職する場合などは、在留資格の変更手続きを行います。外国人就労者の在留期間を延ばす場合は、在留資格を更新します。
事前に「在留資格認定証明書」を取得する方法の流れ
日本国内外での手続きの流れ
企業で外国人就労者の「在留資格認定証明書」を代理で申請する場合、具体的な流れは以下のようになります。
【日本国内】代理人が書類をそろえて「在留資格認定証明書」の交付を、地方出入国在留管理局へ申請する。
↓
【日本国内】入国管理局より「在留資格認定証明書」が交付される。証明書は日本の代理人に届く
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代理人が外国人本人へ「在留資格認定証明書」を送付する
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【日本国外】在外日本公館で外国人本人が「在留資格認定証明書」を提示してビザ申請
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【日本国外】在外日本公館にてビザを交付
↓
【日本国内】外国人が日本の空港(港)でビザを提示。パスポートに上陸許可の証印が押され、在留資格とその期限が明記されます。また、在留カード(※)が発行されます。
在留カードとは
在留資格を持つ外国人に交付されます。期間内の在留資格を持ち、適法に在留していることを示す証明書です。また、変更や更新など在留資格にまつわる許可証でもあります。
カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されています。変更があれば、入国管理局に届出なければなりません。
「在留資格認定証明書」申請の必要書類
「在留資格認定証明書」の申請には共通で、
・在留資格認定証明書交付申請書(1通)
・写真(4㎝×3㎝)1枚(申請前3カ月以内に撮影され、上半身無帽、無背景で鮮明なもの)。
また、在留資格の種類によって追加の書類が求められます。たとえば、外国から通訳となる従業員を招へいするなら、
1.招へい機関(受け入れ企業・団体)の商業・法人登記簿謄本及び損益計算書の写し
2.招へい機関の事業内容を明らかにする資料
3.卒業証明書又は活動に係る科目を専攻した期間に係る証明書及び職歴を証する文書
4.活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書
詳しくは、法務省HP日本での活動内容に応じた資料をご覧ください。
事前に「在留資格認定証明書」の取得する場合のスケジュールと費用
「在留資格認定証明書」は申請から交付までに1~3カ月かかります。ビザの取得は1週間程度です。在留資格の種類にもよりますが、必要書類をそろえるまでに1カ月程度はかかります。ということは、入国の5カ月前くらいからは準備を始めなければなりません。
ただし、「在留資格認定証明書」の有効期限は3カ月。手続きが早すぎても意味がないので注意しましょう。
「在留資格認定証明書」の申請、取得のために、国に支払う費用などは特にありません。書類のやりとりに必要な郵送代などの経費がかかるのみとなります。
ただし、必要な書類をそろえ、滞りなく入国管理局での手続きを行うのは、慣れない方にとっては簡単ではありません。手続きに不備が生じて時間がかかれば、入国や就労のスケジュールにも影響します。
これらの手続きは、行政書士が企業の取り次ぎとして代行できます。TOMAの場合、「在留資格認定証明書」交付申請を手数料20万円~で承っています。
在留資格を変更する方法の流れ
すでに日本に長期間在留している外国人が、就職や転職する際は、在留資格を変更します。在留期間を延長する際も、同様の流れで手続きします。
【日本国内】外国人本人または代理人が書類をそろえて地方入国管理局へ在留資格変更許可を申請する
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【日本国内】入国管理局から許可通知が届く(不許可の場合30日以内に出国しなければならない)
↓
【日本国内】外国人本人が許可通知と必要な書類を持参して入国管理局へ。新しい在留カードが交付される
在留資格の変更・更新の申請には以下の書類・資料が必要です。
・在留資格変更許可申請書
・申請理由書
・パスポート(旅券)
・在留カード
・日本での活動内容に応じた資料
・在留カード用写真(3cm×4cm)
許可通知が届いた後、入管に持ち込むのは以下の書類です
・許可通知のハガキ
・パスポート(旅券)
・在留カード
・手数料納付書(4000円の印紙貼付)
在留資格を変更する方法のスケジュールと費用
在留資格変更許可の申請から許可までは、およそ2週間~1カ月がかかります。通常、書類をそろえるのに3週間はかかるので、2カ月前には準備を始めましょう。
在留資格の更新は、在留期限の3カ月前から手続きが可能です。過ぎてしまうとオーバーステイになってしまいますので注意しましょう。在留資格の変更・更新ともに4000円の法定費用がかかります。こちらも行政書士が手続きを代行できますが、TOMAがお手伝いする場合、法定費用4000円+手数料15万円~で承っています。