外国人が日本で就労する場合に必要となる主な在留資格の一つである「技能」について解説します。
◆在留資格「技能」とは
「技能」は、外国の様々な分野の熟練技能者を日本に受け入れるための在留資格です。在留資格「技能」を取得することによって行うことができる活動について、入管法では、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と規定されています。具体的には、外国料理の調理や食品の製造(フランス料理や中華料理のコック)、外国に特有の建築や土木に係る技能、宝石・貴金属又は毛皮の加工、動物の調教、航空機の操縦(パイロット)、スポーツの指導(コーチ)、海底鉱物探査のための海底地質調査など、その分野は広範に渡ります。「ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供」を行うソムリエも、「技能」に該当します。在留期間は、5年、3年、1年、又は3月です。
◆在留者数、上陸者数について
入管協会が公表している統計資料によると、在留資格「技能」での新規入国者数は平成21年以降、3,000~5,000人台を推移していましたが、平成25年は2,030人と減少しました(対前年増減率△58.7%)。平成25年末現在、「技能」での在留者数は3万3,425人であり、専門的・技術的分野での就労を目的とする在留資格での在留者に占める割合は16.3%、「技術・人文知識・国際業務」に次いで2番目に在留者数の多い在留資格です。
◆許可要件について
「技能」の在留資格が許可されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
①料理の調理又は食品の製造に係る技能については、10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有すること、又は日本国とタイ王国における協定附属書七第一部A第五節1(c)の適用を受けられることです。日本国とタイ王国における協定附属書七第一部A第五節1(c)の適用については、タイ料理人として5年以上の実務経験を有していること、初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得していること、及び日本国への入国及び一時的な滞在に係る申請を行った日の直前の1年の期間に、タイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けており、又は受けていたことがあること、という要件を満たす必要があります。
②建築又は土木、外国に特有の製品の製造又は修理、宝石・貴金属又は毛皮の加工、動物の調教、石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能については10年以上の実務経験(外国の教育機関においてそれぞれの技能に係る科目を専攻した期間を含む)を有すること。
③航空機の操縦に係る技能については、1,000時間以上の飛行経歴が必要でしたが、昨年12月に250時間以上にまで緩和されました。
④スポーツの指導に係る技能については3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む)を有すること、又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがあること。
⑤ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能については、5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、次のいずれかに該当すること。
イ ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
ロ 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
ハ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者
◆申請手続きについて
「技能」の在留資格で外国人が日本への入国・在留を希望する場合は、外国人が日本で雇用契約等を締結することになる公私の機関に属する者を通じて、在留資格認定証明書交付申請を行うことになります。
◆必要書類について
外国人が所属することになる機関は、その状況により「カテゴリー1」から「カテゴリー4」に分類され、申請の際に必要となる書類もこのカテゴリーによって異なります。また、「技能」については調理師としての活動を行おうとする場合と調理師以外の活動を行おうとする場合で提出資料が異なることにも注意が必要です。
「カテゴリー1」(日本の証券取引所に上場している企業や、保険業を営む相互会社、地方公共団体、独立行政法人等)の場合は、①在留資格認定証明書交付申請書、②写真(縦4cm×横3cm)1枚、③「カテゴリー1」に該当することを証明する文書(例:四季報の写し等)、④返信用封筒1通、⑤従事する業務の内容を証明する所属機関の文書、⑥申請に係る技能を要する業務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書が必要となります。
「カテゴリー2」(前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人)及び「カテゴリー3」(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人)については、上記の書類に加えて前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)が必要となります。
さらに、「カテゴリー3」及び「カテゴリー4」(カテゴリー1~3のいずれのカテゴリーにも該当しない団体・個人)については、⑦申請人の職歴を証明する文書として、外国で所属していた機関からの在籍証明書や競技会に出場したことの証明書等、⑧申請人の日本国内での活動内容等を明らかにする資料として、労働契約書又は役員としての報酬を決議した株主総会議事録の写し、⑨日本で所属する機関の事業内容を明らかにする会社案内等、⑩直近の年度の決算文書の写しが必要となります。さらに「カテゴリー4」については、⑪給与支払事務所等の開設届出書の写し及び直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の写しなどが必要となります。
詳しくは、下記リンクの法務省ホームページもご覧下さい。