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取締役の役割と責任~知っておきたい3つのポイント~

記事作成日2016/12/13 最終更新日2023/01/18

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「創業時からの従業員を、その功労に報いるため、取締役に就任させようと考えている。何か問題はあるだろうか。」
このようなご相談を経営者の方から受けることがあります。
平成26年に取締役に関わる会社法の大きな改正が行われ、取締役や株式会社の制度は複雑なものとなっています。
経営者や取締役に就任される方が、取締役の役割と責任について「これだけは知っておきたい3つのポイント」をまとめました。

「取締役の役割と責任」知っておきたい3つのポイント

1.「決定」と「監督」
2.「雇用契約」から「委任契約」へ
3.「第三者」に対する個人責任

(1)「決定」と「監督」

取締役は、会社の事業をどのように行っていくかについて、取締役会などで「決定」を行います。そして、決定された事項が実行されているかを監視し、問題があれば、是正するように「監督」します。「決定」と「監督」機能は全ての取締役が担う役割です。会社の決定に従い業務を行う従業員と異なる点です。

(2)「雇用契約」から「委任契約」へ

会社と従業員は雇用契約の関係にあります。雇用契約は、使用者・会社の指揮監督に従い、労働することを内容とします。
一方、会社と取締役の関係は委任契約です。委任契約は、委任者自身では出来ないような専門性の高い仕事を、専門家に依頼する契約です。委任契約ですから、取締役は、指揮監督を受けず、取締役自身の裁量で業務を行います。その反面、専門家としての注意義務(善管注意義務・民法644条)が求められます。会社に対する損害賠償責任を負うこともあります(会社法423条)。

(3)「第三者」に対する個人責任

取締役は、重大な過失により、取引先など第三者に損害を与えた場合は、取締役個人として賠償責任を問われることがあります(会社法429条)。従業員がこの責任を負うことはありません。

冒頭のご相談については、
(1)候補者が取締役に就任することにより会社の業績が伸びるか
(2)候補者が3つのポイントを理解した上で、取締役就任を望むか
という2点から、まずは検討すべきと考えます。

TOMA行政書士法人では、株式会社の機関設計など会社法に関わるコンサルティング業務を行っております。