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会社分割(新設分割)と古物商許可~会社分割(新設分割)をする場合、古物商許可はどうなるのか?~

記事作成日2016/06/07 最終更新日2016/06/07

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会社分割(新設分割)をする場合、古物商許可はどうなるのか?

古物商許可を持っている会社が、古物の販売に関する事業を分割して、新たに会社を設立する場合(新設分割)、新設分割設立会社は古物商許可を引き継ぐことができるでしょうか。

 

<Q&A>

Q:X社は古物商許可をもっています。
古物の販売に関する事業を切り離して、Y社を設立することを検討しています。
Y社はX社の古物商許可も引き継いで、新設分割後もX社が行っていた古物の販売を継続すること考えていますが、古物商許可を引き継ぐことはできるのでしょうか。

 

A:Y社は新設会社であり、X社とY社は別会社です。
Y社はX社の古物商許可を引き継ぐことはできません。
Y社が古物商許可を取得したい場合は、Y社自身が許可の申請をする必要があります。

 

<ポイント>

1)新設分割により、古物の販売に関する事業を切り離しても、もとの会社(X社)の古物商許可を引き継ぐことはできません。 

2)新設分割設立会社(Y社)が、古物商許可を取得したい場合は、新設分割設立会社(Y社)自身が古物商許可の申請をして、許可を取得する必要があります。 

3)古物商の許可を申請してから、許可されるまで、一定の時間がかかるので、事業開始日の調整が必要な場合があります。 

4)古物商許可を取得するためには、一定の条件を満たす必要があります。また新設分割により会社を設立したあとでなければ、許可の申請ができないため、新設分割と同時に許可を取得することできません。

 

 

<新設分割設立会社(Y社)が古物商許可を取得するためには、何をすればいいのか>

1)まず、古物商許可のための条件を満たすことが必要です。

主な条件は、以下のとおりです。

■申請する営業所に常勤の管理者がいること

■申請する営業所の使用権限があること

■中古車の販売をする場合は、使用権限がある駐車場があること

 

2)スケジュールの管理を行うことが重要です。

許可申請の準備期間、申請後の審査期間の見通しをたて、許可取得日の見込みと事業の開始時期のスケジュールを立てましょう。

申請後の審査期間(標準処理期間)は40日です。

 新設分割から許可日まで一定の時間を要するため、許可されるまでは古物商許可がない状態になり、この間、古物の販売ができません。(つまり、下記の①から④まで期間、古物商許可がなく、古物の販売ができない状態になります。)

 ①新設分割→②許可申請→③審査→④許可 

 

<新設分割の前後を通して、古物の販売を行うためにはどうしたいいのか>

 もとの会社(X社)は、新設分割により古物販売事業を切り離します。つまり、古物販売に関する人、営業所の権限は新設分割設立会社(Y社)に移ります。

X社は古物商許可の廃止届を提出しない限り古物商許可を持っていますが、実態としてその事業に関する資産を持たないため、古物の販売ができなくなります。

  新設分割設立会社(Y社)は、設立後に許可の申請をします。前述のとおり許可されるまでの期間は、古物の販売をすることができません。

  新設分割により、古物販売事業を切り離すことは、事業の継続という観点からすると最善の手法ではないと思われます。