事業承継は、計画的に準備をすることが重要です。その過程で検討しなければならないことのひとつとして、「役員体制」が挙げられます。役員体制を検討する際は、役員のメンバーだけでなく、役員規程や役員報酬規程も見直しましょう。
◆役員規程・役員報酬規程の必要性
後継者が「経営者」として力を発揮するまでにはある程度の時間が必要です。そのため、後継者の右腕になるような社員や社外の有力者を取締役に登用し、新たな経営体制を構築することが考えられます。つまり、事業承継では、経営者だけでなく経営者を取り巻くサポート体制にも変化が起きるということです。
その場合は、これまでとは異なる人員が役員になりますので、役員に関する新たなルールを設けることをおすすめします。役員に関するルールとして代表的なものが「役員規程」「役員報酬規程」です。
◆役員規程について
役員の服務に関する規律を定めたものが「役員規程」です。従業員の就業規則のようなものです。
本来、役員と会社は信頼関係が基礎にあるため、役員は誠実・忠実に業務を執行するものだと想定されています。しかし、ある程度の取り締まりが必要な役員がいる会社があるのも事実です。
守るべきルールや懲戒事由などを規定し、役員就任時にこの規程内容を理解してもらうというステップを踏みましょう。
◆役員報酬規程について
ルールで縛り付けるだけでは、役員として十分な力を発揮できません。努力し、実績を残す方には相応の報酬を約束することで役員のモチベーションにもつながります。このような見通しを立てる手段として、役員報酬規程があります。
報酬の決め方はさまざまです。例えば、基本給は役職ごとに設定し、担当部門や会社の業績に応じた賞与を付与する、株式を付与し会社の業績を配当として還元する、コンピテンシー(行動評価)を反映するなどが挙げられます。いくつかの観点から評価し、それらを組み合わせて報酬額を決定するケースが増えています。会社が求める役員像を設定し、報酬の決め方を検討することをおすすめします。
TOMAでは、役員に関する規程の策定のサポートも行っています。ご検討の際はぜひご相談ください。