行政書士業務ブログ

取締役会の決議要件と特別利害関係人

2018/06/22

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1)取締役会の決議要件

取締役会の決議は、議決に加わることのできる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行われます。ただし、定款に規定すれば、この要件を加重することができます。例えば、取締役会の決議は取締役の3分の2以上が出席し、その出席した取締役の3分の2以上の賛成によると定款に規定すれば、その要件に満たなければ決議は有効に成立しなくなります。

また、取締役は、ひとりひとりが個人的な信頼に基づいて会社から委任を受けているので、株主総会と異なり、代理人により決議することは認められていません。

 

2)特別利害関係を有する取締役

決議について「特別の利害関係」を有する取締役は、議決に加わることができず(会社法369条2項)、その決議事項について、定足数からも除外されます。

例えば、取締役5名で構成される取締役会において、そのうち一人が特別な利害関係がある場合、取締役会の決議が有効に成立するには、特別利害関係人を除いた4名のうちの過半数である3名以上の出席し、出席した取締役の過半数の賛成が必要になります。

取締役は会社に対して善管注意義務(民法644条)・忠実義務(会社法355条)を負っているので、善管注意義務・忠実義務を果たせないおそれがある場合には、当該取締役を決議から除き、決議の公正を保つことが、特別利害関係人を決議から除く趣旨です。

 

特別利害関係を有する取締役

具体的には以下のような場合に「特別利害関係を有する取締役」にあたります。

①競業取引の承認(会社法356条1項1号)における取締役

例)山崎製パン事件(東京地方裁判所昭和59年3月26日)

関東地域一帯で製パン業を営んでいたX社の代表取締役Yが、X社の承認を得ることなく、別会社を設立して関西地区で製パン業を営んだことにつき、X社がYに損害賠償を求めました。裁判所は、Yの行為を競業避止義務違反にあたるとしました。

 

②利益相反取引の承認(会社法356条1項2号、3号)における取締役

例)役員の借入の保証人に会社がなる場合

  役員個人所有の土地を会社が買い取る場合

 

③取締役の責任の一部免除をする場合(会社法426条)における当該取締役

例)会社と取締役(業務執行取締役等を除く)、監査役との間で、事前に責任限定契約を締結し、定款で定めることで責任の一部免除を得ることができます。

 

④譲渡制限株式の譲渡承認における取締役

例)譲渡制限株式の譲渡に取締役個人が売買の当事者となる場合

 

⑤監査役設置会社以外の会社における会社・取締役間の訴えの代表者選任(会社法364条)における取締役

 

⑥代表取締役の解任決議における当該代表取締役

 

代表取締役の選定における取締役、報酬総額の配分決議における取締役は、特別利害関係人にはあたらないとされています。

 

3)特別利害関係人が参加した取締役会決議の効力

株主総会決議の瑕疵とは異なり、取締役会決議の瑕疵については会社法で特別な規定を置いていません。したがって、何らかの瑕疵がある取締役会の決議は原則として無効となり、誰でもいつでもこれを主張することができます。

ただし、軽微な手続上の瑕疵による場合やその他の事情によっては当該決議が有効と認められることもあります。例えば、取締役会の開催にあたり、取締役の一部の者に対する招集通知を欠くことにより、その招集手続に瑕疵があるときは、特段の事情のないかぎり、右瑕疵のある招集手続に基づいて開かれた取締役会の決議は無効になると解すべきである、としました。ただし、その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるときは、右の瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、決議は有効になる、としています。(最高裁昭和44年12月2日判決)

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