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M&Aスキームの促進政策 Enhancing the Mergers &Acquisitions (M&A) scheme

記事作成日2016/05/02 最終更新日2017/01/27

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はじめに

2016年3月24日、シンガポール政府は毎年恒例の2016年予算発表を行いました。今回は、シンガポールの中堅企業のM&A促進のための税制優遇が拡充された件についてお話をいたします。なお、本文中の英語は、シンガポール税務当局(IRAS)からの転載です。

改正前

以前よりこの優遇策が導入されていましたが、その内容は以下の通りとなっていました。

・買収金額の所得控除

買収金額の25%について所得控除可能。ただし、所得控除できる買収金額の上限は年2千万シンガポールドル(1シンガポールドル82円で換算して16億4千万円)まで。

・印紙税の免除

上限は年2千万シンガポールドル(1シンガポールドル82円で換算して16億4千万円)まで。

・上記のほかに、取得関連費用(デューデリジェンス費用など)の200%の所得控除可能。上限は年1千万シンガポールドル(1シンガポールドル82円で換算して8億2千万円)まで。

改正後

改正後は、以下の通りとなります。

・買収金額の所得控除

所得控除できる買収金額の上限は年4千万シンガポールドル(1シンガポールドル82円で換算して32億8千万円)まで引き上げ。

・印紙税の免除

上限を年4千万シンガポールドル(1シンガポールドル82円で換算して32億8千万円)までに引き上げ。

他の優遇内容については変更ありません。この改正は、2020年3月末まで適用されます。詳細については6月に発表される予定です。

To encourage M&As especially among SMEs, we currently provide M&A tax allowance of 25% and stamp duty relief, for up to $20m of consideration paid for qualifying M&A deals each year.

To support more M&As, the existing cap for qualifying M&A deals will be doubled from $20m to $40m, such that: a) Tax allowance of 25% will be granted for up to $40m of consideration paid for qualifying M&A deals per YA; and b) Stamp duty relief will be granted for up to $40m of consideration paid for qualifying M&A deals per financial year. This change will take effect for qualifying M&A deals made from 1 April 2016 to 31March 2020. IRAS will release further details of the change by June 2016.

http://www.singaporebudget.gov.sg/data/budget_2016/download/annexa4.pdf

どのような会社が適用できるのか

買収する側、及び買収される側に一定の要件を課しています。

今回詳細なご説明は割愛しますが、買収する側は原則シンガポール法人(例外はEDBが実施している特別なプログラムを受けている外国法人等)であり、買収前の12ヶ月間について最低3人以上シンガポール人を採用しているなどの要件があります。