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外国子会社配当益金不算入制度とは何か?専門家が詳しく解説します【事例あり】

記事作成日2022/09/14 最終更新日2023/06/19

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今回は、外国の関連会社からの配当を受ける会社の財務経理担当者の方向けにポイントを解説していきます。自社が外国の子会社から配当を受け取っている場合には、その配当の額のうちほとんどが日本では課税されないという制度です。この制度の適用を受けられれば、会社にとって大きなメリットになりますので、ぜひ本ブログで要点をご確認ください。

本ブログでは次のようなトピックを解説していきます。

1. 外国子会社配当益金不算入制度の概要を説明します。外国子会社からの配当のうち95%相当額が益金に算入されないことになります。
2. 外国子会社配当益金不算入制度における外国子会社の要件について説明します。
3. 外国子会社益金不算入制度の適用を受けた場合の外国源泉税の取扱いに注意しましょう。
4. ベトナム子会社から配当金を受け取った場合の税務上の取扱いをみていきます。
5. 外国子会社において配当が損金算入された場合にはこの制度の適用を受けられないことに注意しましょう。

外国子会社配当益金不算入制度の概要

外国子会社配当益金不算入制度とは、一定の要件を満たした外国子会社から受け取る剰余金の配当金を、法人税法上の利益に算入しないことができる制度です。この制度の目的は、二重課税の排除と外国子会社の留保金を日本に還流させることにあります。

すでに外国において源泉税が課税されている外国子会社配当が日本においても課税されることになると、その外国と日本から二重に課税を受けることになります。また、この二重課税によって日本親会社が海外において獲得した利益の日本国内への還流を阻害されてしまいます。

そこでこの制度によって、外国子会社から受けた配当について日本において課税をしないことで、二重課税の排除と外国子会社の留保金を日本に還流させることを実現できるようにしています。

法人税法上の利益に算入されない金額は、その剰余金の配当の額から、その剰余金の配当に係る費用に相当するとされる金額(配当の額の5%相当額)を控除した金額となります。

外国子会社配当益金不算入制度における外国子会社の要件

当該制度の適用を受けることのできる外国子会社とは、以下の要件に該当する法人になります。

「内国法人が外国法人の発行済株式等の25%以上の株式等を、配当等の支払義務が確定する日以前6月以上引き続き直接に有している場合のその外国法人。(なお、租税条約に持株割合について異なる定めがある場合には、本制度対象となる外国子会社の判定は、その割合により行う。)」

子会社といっても50%よりも低い持分割合である25%で適用を受けられることになっていることから、この要件に該当する会社も多いと思いますので、チェックしてみてください。

外国子会社益金不算入制度の適用を受けた場合の外国源泉税の取扱い

多くの場合、外国子会社が配当を支払うときにはその外国子会社の所在する国において源泉税が課されます。日本親会社が本制度の適用を受ける場合には、この配当に対する外国源泉税について外国税額控除の対象とすることはできず、損金の額に算入することもできません。

外国子会社益金不算入制度の事例

Q. 日本法人であるX社は、5年前にベトナムに法人Y社を設立し、設立日以後継続して発行済株式の100%を直接有しています。X社は当期よりY社から剰余金の配当1,000,000円(円換算後)を受け取ることにしました。この1,000,000円のうち、100,000円(円換算後)は、外国源泉税としてベトナムに納付しています。

このとき外国子会社益金不算入制度の適用を受けることはできるのでしょうか。

A. 適用を受けられます。X社がY社の発行済株式等の25%以上(100%)の株式等を、配当等の支払義務が確定する日以前6月以上引き続き直接に有している(5年前から保有)ことになります。

また、当該配当金額のうち、当期において益金に算入されない金額は、1,000,000–1,000,000×5%=950,000円です。さらに、ベトナムに納付した100,000円については外国税額控除の適用の対象とはならず、当期の損金の額にも算入されません。

外国子会社において配当が損金算入された場合

外国子会社が支払う剰余金の配当について、その外国子会社の本店所在地国の法令により損金算入する場合には、その配当は外国子会社益金不算入制度の適用対象にはならず、全額が日本親会社の益金に算入されます。

一方で、この場合にその外国子会社が納付したその配当に係る外国源泉税については、日本親会社の損金に算入するか、または外国税額控除の対象にすることができます。

まとめ

以上、外国子会社配当益金不算入制度について解説しました。自社で外国子会社からの配当がある場合には税務コストを抑えるためにもぜひ活用しましょう。

また、国際的二重課税の排除を目的としている制度は、今回の外国子会社配当益金不算入制度と外国税額控除がありますが、これらは同時適用することができないという点にも注意しましょう。

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