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海外赴任者がいる会社は要注意、非居住者の定額減税の取り扱いについて解説

記事作成日2024/07/16

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令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税の特別控除(定額減税)が実施されることになりました。定額減税では、所得税から3万円、住民税から1万円の控除が行われますが、会社としては従業員ごとに減税額を計算し、給与計算及び年末調整に反映する必要があります。

本ブログでは、従業員が海外赴任をしている企業の方向けに、日本において従業員が非居住者となっている場合や、従業員の家族が留学などで日本の非居住者となっている場合の定額減税について解説いたします。

定額減税の概要

まず定額減税とは、令和6年度税制改正により施行される制度の一つで、納税者本人とその同一生計配偶者等1人につき令和6年分の所得税から3万円、令和6年分の住民税から1万円の合計4万円が控除されるという制度です。

給与所得の定額減税は、扶養控除等申告書を提出している給与所得者についてはその主たる給与の支払者のもとで実施されます。定額減税の実務は、月次減税事務と年調減税事務の2つに分けることができます。

月次減税事務とは、令和6年6月以降の給与計算においてこの定額減税の対象となる従業員の源泉徴収税額について定額減税額の控除計算をしていくことです。

年調減税事務とは、令和6年の年末調整時の年調所得税額について定額減税額の控除計算をすることです。

月次減税事務では、令和6年6月1日以後最初に支払いを受ける給与又は賞与に係る源泉徴収税額から順次3万円が控除されます。また、令和6年6月1日(以下、「基準日」といいます)にその給与支払者のもとに在籍していない従業員は対象となりません。

この定額減税は2024年限りの制度になりますので、給与計算担当者としては大きな事務負担となることが想定されます。では、従業員本人やその家族が海外に居住している場合にはどうなるのでしょうか。

日本の所得税法上、居住者とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、居住者以外の個人を「非居住者」と規定しています。つまり、海外赴任している従業員や1年以上の留学等をしている家族については通常、非居住者として扱われます。

続いて、定額減税を受ける従業員本人やその扶養親族が非居住者となる場合の取り扱いについて解説します。

従業員が非居住者の場合の所得税減税

まず、基準日前に海外に出向し非居住者となった従業員はこの定額減税の対象となりません。

ただし、控除外額(控除しきれていない金額)がある基準日在籍者(令和6年6月1日現在、給与の支払者のもとで勤務している人のうち、給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人)が基準日後に海外へ出向し非居住者となった場合には、通常、出国時に源泉徴収義務者のもとで年末調整を行い、その人の年調所得税額から年調減税額を控除することにより定額減税額の精算を行うこととなります。

従業員の扶養親族が非居住者の場合の所得税減税

原則として、月次減税額の計算に含めることができる同一生計配偶者や扶養親族はいずれも居住者に限ります。

したがって、非居住者である扶養親族は定額減税額の計算には含めないこととします。

そのため、扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者若しくは控除対象扶養親族の「非居住者である親族」欄又は16歳未満の扶養親族の「控除対象外国外扶養親族」欄を確認し、同一生計配偶者や扶養親族が非居住者でないかの確認が必要となります。

では、基準日には居住者であった扶養親族が、海外に移住したことにより令和6年12月31日時点では非居住者となる見込みである場合の取り扱いはどうなるのでしょうか。この点については、次の原則にて判定します。

扶養親族が居住者であるかどうかは、原則として令和6年12月31日の現況で判定します。(下記※参考)

したがって、年の中途で出国し非居住者となった扶養親族は年調減税額の計算には含めません。もちろん、給与所得者本人が居住者であれば本人分の定額減税は受けることができます。

上記の例とは反対に、令和6年6月時点では非居住者であった扶養親族が、その後日本に入国し、令和6年12月31日時点では居住者となる見込みである場合の取り扱いはどうなるのでしょうか。このケースにおいても上記の原則のように、扶養親族が居住者であるかどうかは、令和6年12月31日の現況で判定します。(下記※参考)

したがって、月次減税額の計算には含めていなかったその扶養親族でも、年末調整時までに扶養控除等申告書等に記載することで、年調減税額の計算に含むことになります。

(※)給与所得者本人が年の中途で出国し非居住者となった場合等は、その給与所得者の出国時の現況においてその扶養親族が居住者に該当するかどうかを判定します。

まとめ

以上のように、従業員またはその家族が海外に居住する場合には通常とは取り扱いが異なるので注意しましょう。すでに定額減税の準備をされている会社も多いと思いますが、月次減税の実施前に従業員の家族の状況等についてしっかりヒアリングしておくことが重要です。

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なお、定額減税につきましてはYouTubeのTOMA人事労務情報チャンネルでも解説動画を公開しています。こちらも併せてご覧ください。

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