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ラオスについて

記事作成日2015/08/20 最終更新日2023/10/31

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はじめに

先日ラオスに行ってきましたので、この記事ではラオスに関するお話をしたいと思います。

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ラオス概況(国名から在留邦人数までJETROラオス概況より引用)

国名:ラオス人民民主共和国(Lao People’s Democratic Republic)
面積:23万6,800平方キロメートル(ほぼ本州の面積)、出所:ラオス統計局
人口:689万8,000人(2014年8月)出所:IMF推計
首都:ビエンチャン、人口:79万7,130人(2012年)、出所:ラオス統計局
言語:ラオス語
宗教:仏教
一人当たりの名目GDP(2014年):1,697.06ドル
日系企業進出状況(2013年10月1日現在):103社 出所:外務省
在留邦人数:667人(2014年10月現在)、出所:外務省

首都ビエンチャンについて

今回訪問したのは、東南アジアのインドシナ半島に位置する共和制国家であるラオスの首都ビエンチャン(Vientiane)です。ASEAN加盟国であり、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーと国境を接しています。海に接していない内陸国です。

訪れて印象に残ったことは、首都ビエンチャンの国際空港の一日の便数が20件未満と少ないこと、建築規制があったために高層ビルが皆無であること、他の後進国に比べてバイクやオート三輪よりも自動車が多く走っていたことです。

進出企業の業種

民間の日系企業のラオス進出は活発ではない一方、JICA(独立行政法人国際協力機構)によるラオスのインフラ整備が目立っています。在留邦人の内訳でもJICA関連の方が多くを占めています。

民間の日系企業のラオスへの進出は、すでにタイに進出している企業が、工場の生産ラインの一部もしくは全部をラオスに移設するケースが目立ちます。まだまだこれからのエリアであると感じました。賃金が安いので、労働集約型の産業に向いているのではないでしょうか。

気になるのは、ベトナムからの投資や、中国による鉱山・ニュータウン建設などへのインフラの投資、韓国による自動車の販売、隣国タイからの投資が目立つものの、日本の民間企業による投資は目立っていない点です。

言語

ラオス語が中心に使われているとのことです。筆者がラオスの人々と会話しても英語はほぼ通じませんでした。なお、勉強熱心な若い方は英語を勉強しているそうです。

人件費

※1ラオスキープ=0.015円で換算することもできますが、USドルからの日本円へ換算することで日本円価額をご説明いたします。

現時点で最低賃金が月900,000キープ又は111USドル(1USドル=123円として13,653円)とのことです。ラオスは技能や経験により人件費の相場が異なるのが特徴で、大卒で日本語ができる新人は月500USドル(61,500円)、マネージャークラスで月1,000USドル(123,000円)です。技能をつければ給与水準が大幅に上がるため、ラオスの若い人たちは勉強熱心になっているとのお話を聞きました。

なお、残業は月48時間制限があり、残業代は平日150%増し、休日は200%増しとなっており、罰則的な意味合いで残業代の割増率が決まっています。日本人と異なり、勤務時間が過ぎれば仕事をやめて帰宅するのが通常なので、日本人のように働いてほしいと思っていてもうまくいかないかもしれません。

女性は男性よりもまじめに働き信用がおけるとのお話をしていた方がいました。男である私としては耳がイタイのですが。

事務所家賃

1㎡=13USドルが相場だそうです。ポイントは賃料を6ヶ月程度前払いさせる慣習があるので資金を確保しておく必要があるという点です。

住宅家賃

一戸建てですと月500USドルから2,000USドル(日本円で61,500円から246,000円)、サービスマンション(プール等の設備もある上に掃除もしてくれるマンション)で月2,000USD(日本円で246,000円)となっています。サービスマンションをのぞき最低1年以上の契約が求められ、中途解約はできない取り決めが多いようです。賃料の前払いについては事務所家賃と同様前払いが求められます。

政治

社会主義国家で、一党独裁の体制が続いています。政治は安定しており経済に悪影響を及ぼしていない状況です。政治面ではベトナムとの結びつきが強いです。

進出形態

駐在員事務所は設置後3年までと期限が明文化されていること、支店は航空業・金融業・保険業・ODA入札にかかわるコンサル業に設置が限定されていることが特徴です。

現地法人の設立に際し、原則100%外資設立が認められているものの、卸売業・小売業・運輸業・建設業・保険業をはじめとして外資規制があります。

直近のトピックとしては大規模な卸売・小売業の規制が緩和され、条件を満たせば100%外資出資の法人が設立できるようになったことです。これは、AEC(ASEAN Economic Community、アセアン経済共同体)の合意事項にしたがって開放したといわれており、ミャンマーでも同様な動き(ティラワ経済特区の卸売容認)があります。

税金・監査

税金は、直接税には法人税、所得税、環境税などがあり、間接税には付加価値税や物品税があります。全て国税であり、地方税はありません。なお、制度の制定及び運用が不安定のところがあるそうで、不透明な箇所も多いようです。ラオスでは会計監査人による監査が大規模な会社では必要となっている記載も見られますが、正しい情報は確認できませんでした。

宗教・文化

仏教徒の方がおおいです。温和な感じがあり日本人とも一緒に仕事ができそうな印象があります。宗教上の都合で時々半日程度出勤しない日があるそうですが、事前に把握できるので仕事に支障はありません。

治安

治安は悪くなく、ビエンチャンのどのエリアでも日本人が住むことができます。町全体がゆったりしている感じで歩いていても身の危険を感じることはありませんでした。

教育

日本人学校はありませんが、日本人会直轄の日本語補習校があります。

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