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香港について【TOMAシンガポール支店 公認会計士駐在の会計・税務事務所】

記事作成日2015/11/26 最終更新日2023/10/31

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はじめに

今回は香港についてご紹介します。以下の写真は香港の路地です。一歩裏通りに入ると下町感があります。

Hong Kong その1 写真

香港概況(国・地域名から日系経済団体までJETRO香港基礎データより引用)

・国・地域名:香港 Hong Kong
・面積:1,104.4平方キロメートル(東京都の約半分)
・人口:730万人(2015年8月)
・言語:中国語(一般には広東語が多い)と英語
・宗教:仏教、道教、キリスト教
・公用語:中国語(北京語:繁体字)と英語
・実質GDP成長率(%):2.9
・一人あたりのGDP(名目):ドル37,777
・消費者物価上昇率(%):4.3
・失業率(%):3.4
・在留邦人:27,146人
・日系経済団体:香港日本人商工会議所 667社(2015年7月20日現在)

日本の一人当たりGDPが2015年でUSD32,480.66ですので、日本と同じぐらいかやや豊かな国です。在留邦人数は減少しているとの話もあります。

香港の近況

中国本土の住民が、香港まで来て食料品等の生活財を購入して帰っていくそうです。そのため、香港の物価が高騰していますので、行政は中国本土からの人の往来を規制し始めています。また、投資ビザ(香港で投資事業を行うために就労するビザ)の発行も禁止されました。

行政としては、健全な経済による成長を志向しているため、過度な外国人受入を抑制しています。政治的に中国本土の影響を受け始めており、これを嫌って香港からシンガポールへ移住もしくは事業を移す方もいます。

進出している日系企業の業種

近年は、小売業や飲食業、宝石店の進出が目出つようです。これらの業種は、香港の人に気に入ってもらえるかどうかが存続の鍵となりますので、対日本人だけで商売をしようとするのはお薦めできません。製造業の進出は皆無、となりのシンセンや広州でも新規進出はほぼないようです。人件費が予想以上に上がったため、中国からASEANへシフトする流れが鮮明になっています。

言語

広東語、北京語もしくは英語です。ホワイトカラーの方など一定の教育を受けた人や中高年の人は英語を話していますが、中国返還後に教育を受けた若い方は英語が苦手な方もいます。

人件費※以下、1香港ドル=15円で換算します。

業種により給料水準が異なっており、金融系の業種は給料が高い傾向があります。香港政府の統計によると、金融保険業の平均月給は21,163香港ドル(317,445円)となっています。その一方で、ビジネスサービス業(Professional and business services)は10,650香港ドル(159,750円)となっており、ばらつきがあります。それぞれの業種ごとで調査する必要があります。

JETROの資料で他の国と比較すると、日本より低く韓国よりちょっと高い相場となっています。賃料は高いですが、人件費はそれほど高くないというのが意外でした。

労働者

香港の労働者は、残業をしない、締め切りを守らない、誠実さがないということで、日本人労働者と違い、管理者による監督が必要とのことです。ただ、中国人のほうが、香港人よりもこの傾向が顕著なようです。

事務所家賃

上環・中環・金鐘という金融関係が集まっている香港の中心エリアで、高い物件で1スクエアフィート180香港ドル(1㎡1,939香港ドル=1㎡29,085円)程度、安い物件で60香港ドル程度(1㎡646.55香港ドル=1㎡9,698円)となっています。東京丸の内より高いのではないでしょうか。賃貸契約は2年から3年が多く、中途解約不可のケースがほとんどです。

住居家賃※1香港ドル=15円で換算します。

Wan Chai駅周辺の築年数20年超の2ベットルームで20,000香港ドル(300,000円),築年数が新しいと33,000香港ドル(495,000円)します。筆者が住んでいるシンガポールよりも高い賃料ですので高額ではないでしょうか。築年数20年超の1ベットルームでも19,000香港ドル(285,000円)します。

政治

香港は中国の特別行政区という扱いになっています。中国本土の影響力が増してきている中で、今後の香港の扱いがどのようになるかは定かではなく、不気味さが残っています。昨年民衆による大規模なデモも発生しました。

税金・監査

法人税率は16.5%であり、アジア諸国の中では低い税率となっています。課税対象所得は香港内の源泉所得のみです。しかし、オフショアの所得(香港外の源泉所得)の証明が難しく、申告時のネックになっています。個人所得税は課税対象期間が4月1日から3月31日となっているのが特徴的です。

また、消費税に相当する税金がありません。さらに酒税もアルコール度数が高くなければかかりません。源泉徴収の制度がほとんどなく、給与や利息・配当も源泉されません。ロイヤリティーのみ源泉が必要です。以上のように、香港は非常に簡素な税制をとっておりますので、会計基準に基づく決算書を作成して、公認会計士の監査を受けてしまえば、加算減算項目はあまりなく、納税額の算定は容易です。

しかし、どの法人も公認会計士又は監査法人の監査を受ける必要があります。

宗教・文化

仏教徒や道教徒が中心です。外国人の方も多いので、キリスト教の方もいます。

治安

治安は良いです。警察が治安維持に力を入れているようです。

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