[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、未実現損益の消去について、子会社から親会社へ販売した場合をご説明します。
【子会社に非支配株主がいる場合】
子会社の株主保有割合が親会社70%、非支配株主(親会社を中心とする企業集団に属さない株主をいいます)が30%だとしましょう。
「連結決算の手順・仕訳紹介シリーズ その7 投資と資本の相殺消去 非支配持分への振替」でご説明しましたが、連結子会社で獲得した利益は、親会社と非支配株主で分けることとなっています。
例えば、子会社の利益が1000計上できた場合は、親会社に帰属する利益が700、非支配株主に帰属する利益が300となります。
この考え方を貫くと、子会社に帰属する未実現利益を消去した場合、子会社の利益金額が減少することとなりますので、親会社と非支配株主間で利益按分額を修正しなければなりません。
「連結決算の手順・仕訳紹介シリーズ その7 投資と資本の相殺消去 非支配持分への振替」のブログは下記のとおりです。
連結決算の手順・仕訳紹介シリーズ その7 投資と資本の相殺消去 非支配持分への振替
【実例】
子会社から親会社への売上が2,000、親会社が有する子会社から仕入れた在庫の残高が1,000、子会社の利益率が20%、税率が30%、親会社の持分比率が70%だとしましょう。
この場合、以下の連結修正仕訳が必要です。
(借)売上高(P/L) 2,000 (貸)売上原価(P/L) 2,000 ①
(借)売上原価(P/L) 200 (貸)棚卸資産(B/S) 200 ②
(借)繰延税金資産(B/S) 60 (貸)法人税等調整額(P/L) 60 ③
①企業集団内の内部取引のため、連結財務諸表作成上は相殺消去します。
②親会社が持つ在庫のうち子会社から仕入したものについては、子会社の利益分が在庫金額に加算されています。企業集団全体の視点から考えると、企業集団内で在庫の保管場所を変更しただけなのに、子会社の利益が在庫の評価に加算されていたり、子会社の決算書に当該販売により利益が計上されているのは、利益の過大表示となります。このため、連結財務諸表作成上、利益金額を相殺消去します(1,000×20%=200)。
③連結財務諸表固有の一時差異が発生したため、税効果会計に関する仕訳を認識します(200×30%=60)。なお、ここでは、繰延税金資産の回収可能性の検討は割愛し、全額計上しています。税効果会計については、次回のブログで詳細にご説明します。
①から③までの仕訳の結果、子会社の利益が△140(200-60)減少することとなります。しかし、非支配株主と利益の減少をシェアすることとなりますので、以下の仕訳も必要となります。
(借)非支配株主持分(B/S) 42 (貸)非支配株主損益(P/L) 42 ④
④140×持分30%=42
これにより、企業集団が負担する損失は△140-△42=△98,
非支配株主持分が負担する損失は△42、
両者の損失は合計で△140となります。
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