[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、棚卸資産に含まれる未実現損益の消去についてお話をします。
【未実現損益の消去の必要性】
親会社P社が外部から仕入を行い、これを販売子会社S社へ販売したところで連結決算日を迎えたとしましょう。
この場合、
・P社の帳簿には、①外部からの仕入(100円)と②S社への売上(140円)
・S社の帳簿には、③P社からの仕入(140円)
が計上されています。
P社はS社への商品の販売により利益が40円生じていますが、この商品は企業集団外部のユーザーには販売されていません。
企業集団からみると、企業集団外部のユーザーへ販売して初めて企業集団としては儲かったことになります。
このため、在庫が企業集団内部にとどまっている場合は、販売子会社でS社で計上された利益を消去する必要があります。これを未実現損益の消去といいます。
【未実現損益の消去】
では、どのような連結修正仕訳をすればよいのでしょうか。
③のP社からの仕入140円がそのまま在庫となっているのですが、140円のうち40円が未実現損益として考えられます。この140円については、S社の帳簿で期末商品棚卸高から商品勘定へ振替えられています。このうち、40円部分について取消仕訳をします。また、税効果会計の認識もしてみます。
(借)売上原価(期末商品棚卸高) 40円 (貸)商品 40円
(借)繰延税金資産 12円 (貸)法人税等調整額 12円
【実務上の対応】
未実現損益の消去については、販売会社の利益率の算定が必要なことや、消去対象となる在庫の識別に手間がかかることがあるため、連結財務諸表の利益に及ぼす影響が乏しいと判断された場合は、仕訳を割愛することがあります。
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