[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
前回につづき、連結財務諸表作成について説明をします。
【連結の範囲】
連結の範囲とは、連結財務諸表にどの子会社を含めるかを言います。
この点、日本の基準も国際財務報告基準(IFRS)も原則論は同じ取り決めをしており、すべての子会社を連結財務諸表に含めなさいとしています。
念のため日本と国際財務報告基準(IFRS)の取り決めを記載します。
(連結財務諸表に関する会計基準 第13項)
親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含める。
(International Accounting Standard 27
Consolidated and Separate Financial Statements, 12)
Consolidated financial statements shall include all subsidiaries of the parent.
しかし、日本の基準では連結の範囲に例外を定めています。支配が一時的であると認められる子会社や、連結してしまうと返って連結財務諸表の利用者の判断を著しく誤らせる場合は、連結の範囲に含めないとしています(連結財務諸表に関する会計基準 第14項)
【子会社】
子会社とは、親会社によって会社の意思決定機関を支配(power)されている会社を指します。
支配の仕方については、株式(議決権)を有して会社の株主総会を支配する方法が一般的ですが、日本の会計基準も海外の会計基準も、株式(議決権)による支配以外の方法でも支配権を持っているという一定の事実があれば支配(power)があると考えています。
例えば、日本の会計基準の取り決めを分かりやすく説明しますと、
- 他の企業の議決権を40%以上から50%以下を自分のお金を拠出して所有(自己の計算といいます)している場合について
① 他の株主に自分と同じように議決権を行使してくれる人がいて、その人の分も含めると議決権の過半数を占めている場合
② 他の企業の取締役のうち過半数が、株主と同じ会社の役員であるなど、株主と同じ意思決定をしてくれる人たちで構成されている
③ フランチャイズ契約など、他の企業の意思決定を支配する取り決めがあること
④ 他の企業に多額の融資をしており、他の企業の融資総額の過半をしめていること
⑤ AからD以外にも、他の企業の意思決定機関を支配しているという事実が存在すること
- 仮に自分のお金を拠出して議決権を有していない場合でも、自分と同じ考えで意思決定してくれる他の株主がいるためその人の議決権もあわせると議決権の過半数を占めており、かつ、上記②から⑤のいずれかの要件を満たしている場合
と定めており(連結財務諸表に関する会計基準 第7項)、持株による支配以外にも支配が成立する旨を明記しています。持株がゼロでも成立する場合も記載されています。
また、国際財務報告基準(IFRS)においても、同基準13で上記の日本基準と似た定めをしており、14、15では新株予約権などの潜在的な議決権の考慮についても定めています。日本と同様、支配についてはは実質面を重視した取り決めをしています。
13 Control is presumed to exist when the parent owns, directly or indirectly through subsidiaries, more than half of the voting power of an entity unless, in exceptional circumstances, it can be clearly demonstrated that such ownership does not constitute control. Control also exists when the parent owns half or less of the voting power of an entity when there is:
(a) power over more than half of the voting rights by virtue of an agreement with other investors;
(b) power to govern the financial and operating policies of the entity under a statute or an agreement;
(c) power to appoint or remove the majority of the members of the board of directors or equivalent governing body and control of the entity is by that board or body; or
(d) power to cast the majority of votes at meetings of the board of directors or equivalent governing body and control of the entity is by that board or body.
14 An entity may own share warrants, share call options, debt or equity instruments that are convertible into ordinary shares, or other similar instruments that have the potential, if exercised or converted, to give the entity voting power or reduce another party’s voting power over the financial and operating policies of another entity (potential voting rights). The existence and effect of potential voting rights that are currently exercisable or convertible, including potential voting rights held by another entity, are considered when assessing whether an entity has the power to govern the financial and operating policies of another entity.
Potential voting rights are not currently exercisable or convertible when, for example, they cannot be exercised or converted until a future date or until the occurrence of a future event.
15 In assessing whether potential voting rights contribute to control, the entity examines all facts and circumstances (including the terms of exercise of the potential voting rights and any other contractual arrangements whether considered individually or in combination) that affect potential voting rights, except the intention of management and the financial ability to exercise or convert such rights.
【子会社の範囲の詳細について】
実務上は、もっと細かい話が問題となると思います。詳細については、公認会計士に尋ねるか、弊社へお問い合わせください。
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