[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回から、連結決算の手順・仕訳についてご説明するブログを不定期で連載させていただきます。
【連結財務諸表】
連結財務諸表とは、「支配従属関係にある2 つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するものである。」と定めています(連結財務諸表に関する会計基準 第1項)
分かりやすく言うと、親会社を頂点とした親会社グループの決算書をいいます。親会社が子会社等を支配している場合は、子会社へ損失を押し付ける処理も可能であることから、親会社の決算書だけでは決算情報としては不十分となります。このため、連結財務諸表が求められるようになりました。
また、経営上の観点からも、多数の会社をもっている経営者は連結財務諸表を作成しなければ、親会社グループの決算数値がよくわからないのではないでしょうか。
さらに、日本以外の多くの国や地域では、子会社を有する会社は、原則連結財務諸表を作成しなければならず、会計監査人も連結財務諸表を監査することとなります。日本の非上場会社を含めた多くの会社では連結財務諸表を作成していませんが、シンガポールをはじめとした諸外国の状況から見ると珍しい状況だと思います。
【おおまかな連結財務諸表作成の手順】
(親会社の財務諸表+子会社の財務諸表)-調整作業=連結財務諸表 |
となります。
足し算と引き算ができれば連結財務諸表が作成できるのですが、実際の実務ではなかなかうまくいかないと思います。
足し算の作業で悩む作業は下記のとおりではないでしょうか?
・全ての子会社を合算しなければならないのか?例外はないのか?そもそも連結財務諸表に加える必要がある子会社等の定義とは?
・親会社と子会社で事業年度が異なる場合はどうか?
・親会社と子会社で会計方針(表示も含む)が異なっている場合は、単純に合算できない
・子会社が外国の会社であって、日本円で表示されていない場合はどうするか?
引き算(調整作業)の箇所で悩む作業は下記のとおりではないでしょうか?
・投資と資本の相殺消去の箇所で株式取得時の情報がわからない
・子会社を売却したときの処理がわからない
・親会社以外に株主がいる子会社の処理がわからない
・のれんの償却年数の決め方がわからない
・親子会社間の売上仕入や債権債務の相殺消去をしたいが、うまく情報が拾うことが出来ない、また、差額がでたときはどうするか?
・親子会社間で固定資産の売買がされ、その後当該資産が減価償却されている場合は、どのように相殺消去するか?
・未実現損益の相殺消去がめんどう
・連結財務諸表にも税効果会計を適用しなければならない場面があるが、どの場面で適用すればよいのか?
次回から、上記の点を中心に説明をさせていただきます。
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