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【自己株式仕訳その3】処分時や消却時の仕訳

記事作成日2016/10/31 最終更新日2023/06/06

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今回は自己株式の処分時や消却時の仕訳についてお話します。

【処分時の処理】

自己株式の処分とは、一度買い戻した自己株式を再度第三者へ渡すこと(=株式の再発行)をいいます。

自己株式の処分から生じた差額については、その他資本剰余金を増加もしくは減少させる処理をおこないます(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第9項第10項)。差額を損益項目で処理しないというのがポイントです。

仕訳で示すと下記のとおりとなります(自己株式処分差損が生じたケース)。

(借)現金預金     ××      (貸)自己株式   ××

(借)その他資本剰余金 ××

【消却時の処理】

自己株式の消却とは、一度買い戻した自己株式を消去する処理を指します。自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額することが求められています(自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準第11項)。

仕訳で示すと下記のとおりとなります(自己株式処分差損が生じたケース)。

(借)その他資本剰余金 ××      (貸)自己株式   ××

【国際財務報告基準(IFRS)における処理】

IFRSでは、自己株式の処分や消却についての詳細な定めがありません。下記の下線部のように、自己株式の購入や売却、発行や消却からは損益を認識すべきではない旨だけを定めています。

If an entity reacquires its own equity instruments, those instruments (‘treasury shares’) shall be deducted from equity. No gain or loss shall be recognised in profit or loss on the purchase, sale, issue or cancellation of an entity’s own equity instruments. Such treasury shares may be acquired and held by the entity or by other members of the consolidated group. Consideration paid or received shall be recognised directly in equity.

私見ですが、IFRSは様々な国での適用を想定されていますので、資本の増加や減少のような各国の会社法に強い影響を受ける事項については、詳細な定めを避けているのかもしれません。

 

お問い合わせは、toma@toma.co.jp まで。

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