[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
前回に続き、繰延税金資産の回収可能性についてお話しをします。本テーマについては今回が最終回となります。
【さまざまな結果が想定される】
シンガポール及び国際財務報告基準による会計処理に従う場合、日本のように比較的画一化された判断基準がないことから、利益の減少額の幅350,000,000円から245,000,000円までの間でどのような結果になるか予想しづらくなります。
会社の将来の利益計画の策定の仕方、会社のスケジューリングに対する姿勢や、監査法人の判断のスタンスによって変わってくるからです。
一方、日本のように細かい判断基準を定める方法も問題がないとはいえません。私見ですが、細かい判断基準を定めてしまうと、細かい判断基準を逆手にとって、それをかいくぐる意図で企業がさまざまな判断をしてくることもあります。そのような場合は、国際財務報告基準のように原則論を中心に規定し、細かい判断は監査法人にゆだねるのも手だと思います。
繰延税金資産の回収可能性の判断が難しいのは、将来の儲かり具合のような、将来の事象を勘案して判断をしなければならないため、その見積もりをする会社や監査をする監査人によって、異なる結論が生じやすいためです。
【決算書の読み手の視点から考えると】
日本でも外国でも近年の会計基準は、固定資産の減損に関する会計基準のように、将来の収益予測を加味した判断など、将来の事象を勘案して判断することが多く求められています。よく”減損”という言葉を聞かれるかもしれません。この減損というのは、将来の収益性が低下したことによって損失が発生することを言います。
企業の稼ぐ力が低下してくると、固定資産の減損に関する会計基準や税効果の会計基準、金融商品の会計基準等で、損失の計上を求められるケースが多くなってきます。このため、稼ぐ力が弱くなると、会計基準もそれを後押しする結果となりやすく、マイナスがマイナスを呼ぶ形になります。筆者の感想ですが、昭和の時代よりも赤字の幅が大きくなっているように感じます。
この反面、稼ぐ力が増している会社は、そのまま利益が増えていく傾向があります。
近年、V字回復と呼ばれることがありますが、これは稼ぐ力が弱いときに資産の評価を切り下げ、その後業績が良くなってきた場合に見られます。過去の損失計上時と比較すれば、当然良い決算書にみえるためです。
投資家や決算書を読まれる方は、近年導入された会計基準の適用の結果、業績の幅ぶれが大きくなってきていることを頭にいれて分析することをお勧めします。損益計算書だけではなく、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローの金額(マイナスはだめ)にも着目するとわかりやすいと思います。
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