[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
前回に続き、損益計算書の特別損益項目について、日本と国際財務報告基準の違いをお話します。
【国際財務報告基準の注記】
国際税務報告基準では損益計算書(包括利益計算書)において、特別損益項目が独立して開示されません。
しかし、減損損失に関する費用などは、別途減損に関する会計基準によりその内容等を注記するように求められているケースがあります。
このため、注記を含めた決算書を全て読むと、異常な損失がどれだけ発生しているのかがある程度把握できるようになっています。
筆者も驚いたのですが、海外の決算書の注記の分量はとても多いです。日本の決算書で説明すると、会計方針+勘定科目内訳+日本で求められている注記が合算されて注記されているイメージです。
なお、日本でも有価証券報告書を作成している企業では多くの注記が求められています。
外国企業と取引する場合には、相手方の決算書を入手すると多くの情報が得られるかも知れません。注記の内容をよく読むと色々わかることが多いように思います。
【日本の会計基準と国際財務報告基準の違い(筆者の私見です)】
日本の会計基準、特に企業会計原則などは、損益計算書を重視した会計となっていました。具体的には事業年度の儲けがどれだけだったのか明瞭に表示することに主眼がおかれ、貸借対照表は従たるものという思考がありました。
日本の大学生や社会人が決算書の分析をするに当っては、損益計算書の各段階の利益の意味や、財務指標の式などをよく学習されているのではないでしょうか。
これに対して、国際財務報告基準では、本当の財政状態はどうなのかという貸借対照表の中身を重視した思考が主眼にあります。このため、減損会計など、資産の評価に関する会計基準は早期の開発をされてきた一方、損益計算書の開示は金融費用や税金費用を表示するように求めているものの、日本のように細かく規定されていません。
特別損益に関する扱いについては、日本は異常性のある収益・費用かどうかを企業に判断させることによって、決算書の読み手にある種の情報を与える機能を持たせています。
これに対して国際財務報告基準は、なにをもって正常か異常なのか、特別な損益の定義があいまいになってしまうことから、別の開示することは無駄な作業であるし、決算書の利用者に誤った理解を促してしまうとの理由で、特別損益項目の開示をしないとしているように思えます。
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