[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、海外進出の動機と進出方法について私見を交えてお話をします。
【海外進出の動機】
とある学者によると、海外進出の動機は主に以下のものが挙げられると分析しています。
A 進出するエリアの市場に魅力がある
B 同業他社が進出しているため
C すでに販売している製品が売れなくなってきたものの、進出国では需要があり販売できる見込みがあるため
Aはそのエリアで商品やサービスの需要があり進出すれば売上が期待できることや、人件費が安い、また、特定のスキルをもった人材がその地域に多くいるなど、進出国でないと得られない経営資源があるというのも動機の一つになるかと思います。
企業の規模の大小問わず、もっとも多い進出動機です。
Bは一定規模の日本企業に多く見られる動機であり、同業他社に追随して進出するケースです。私見ですが、このような進出動機ですぐに収益を生んでいる企業は多くないように思います。グループの既存の売上を維持するというのが潜在的な目標となっているのではないでしょうか。
Cは製品のライフサイクルに着目し、異なるライフサイクルが進出国にあれば、そのサイクルにしたがって商品を販売して、過去のノウハウを使いながら楽にビジネスができるのではという考えです。
しかし、現在では、どの国でも同じような時代の変化をしている(例えばスマートフォンの普及は日本のみならず、ASEAN各国で同様に進んでいる)傾向があるので、現在における海外進出の動機としてはあまり見られないかもしれません。
ただし、例えば、建築や土木などのインフラ整備に関する企業が、過去の異なる国で培ったノウハウを、これから経済発展を遂げるエリアに転用するといったことは十分に考えらます。Cの動機で海外進出する場合は、すでに他のエリアで厳しい競争を勝ち抜き、一定のノウハウをもった企業が多いのではないでしょうか。
なお、AからC以外の進出動機として
D オーナー一族の都合により海外進出をする
E 進出エリアに住んでみたいなど(結婚相手がそのエリアの人など)
という、非経済的な理由に基づくケースもあります。
【進出方法】
大雑把に分類すると以下のようになります。
①輸出
②現地法人の設立など
③ライセンスの付与や代理店契約(業務提携)
①は、物の販売やインターネットでのサービス提供などを行っている会社で考えられる進出方法です。輸出国の法規制があまり厳しくなく、その商品等が現地で一定の需要があればビジネスが成立します。
②は、現地法人の設立・支店や駐在員事務所の設置が該当します。お金がかかる進出方法ですが、そのエリアで独特なビジネス慣習が強かったり、法律等の運用が安定しない(例えば、多額の賄賂が必要で、法律やルールどおりにならないエリアなど)エリアでは、現地法人等の設立が有効かもしれません。
私見ですが、海外進出に慣れている多国籍企業であっても、各進出国でそれぞれ同じように利益を得ていることはまれで、そのエリアの慣習等をつかんで他社に対して優位性を持たなければ、なかなか利益を得ることができません。優位性を築くためには、現地でビジネスを行いながらノウハウをつかむ必要があります。
③は、進出国の事情に詳しかったり、人脈がある代理店等に販売を委託、現地のメーカーに製造を委託したりするケースです。
②による進出をしたくても、進出エリアの外資規制に抵触したり、販売網の構築に関して現地の人に協力を仰がないとビジネスができないエリアでは、③の方法がとられることが多く見られます。
②に比べお金がかからない傾向がありますが、仮に成功しても代理店の力が強くなって、自らの会社にあまり利益が還元されなくなってしまったり、ノウハウが流出してしまうという弱点もあります。
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