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日本とシンガポールの移転価格税制 その2

記事作成日2015/09/28 最終更新日2021/05/21

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【はじめに】

前回につづき、移転価格税制についてお話いたします。今回は、シンガポールにおける移転価格税制についてです。

【シンガポールにおける移転価格税制】

シンガポールでは、2015年1月にシンガポール税務当局より新ガイドラインが発表され、その中で、移転価格の文書化義務が明記されました。ここで、日本と違っているところは、例外規定を設けており、一定の規模以下の法人にはこの文書化義務を課さないことを明確化していることです。

このため、シンガポールに関連会社をお持ちの場合には、まず、この規定の適用対象となるかどうかを確認されることをお薦めします。

なお、シンガポールでは、作成した文書を保管しておき、税務調査等によりシンガポール税務当局から請求された時は、30日以内に提出しなければなりません。提出できなかった場合、罰則(最大S$1,000の罰金または6か月以内の禁固刑)が課されます。

【例外規定の内容】

例外規定はその事業年度の取引規模を基準とし、一定金額以下であれば文書化義務を免除するとしています。

たとえば、

・全ての関連当事者への商品・材料等の販売が15百万シンガポールドル(1ドル90円として、13億5千万円)を超えない場合
・全ての関連当事者からの商品・材料等の仕入が15百万シンガポールドルを超えない場合
・全ての関連当事者への貸付が15百万シンガポールドルを超えない場合

などと明確にされています。また、取引規模に関係なく免除を認めている場合があります。

例えば、関連者間の事務的なサービス取引(別途定義有り)に関して、コスト+5%マークアップで対価が設定されている場合などが記載されています。

詳細は、下記のシンガポール税務当局発表の資料をご覧ください。

https://www.iras.gov.sg/irashome/uploadedFiles/IRASHome/e-Tax_Guides/etaxguide_Transfer_Pricing_Guidelines_(Second_Edition)_2015_01_06.pdf

【まずは相談を】

シンガポールでは、文書化が義務付けられてから日が浅く、今後は適用の対象が広がっていくことも考えられますので、是非一度シンガポールの会計事務所に相談してみることをお薦めします。

日本親会社とシンガポール関連会社との取引について、親会社側で既に文書化対応が済んでいる場合は、それを応用する形になると思われます。

シンガポール税務のお話であっても、日本の親会社主導により対応を進めていったほうが取り組みやすいかもしれません。