[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【はじめに】
今回は、2019年1月1日以降開始事業年度から適用される「新リース基準」についてお話します。
【リース物件の借手の会計処理に影響】
現状の基準(IAS16号や日本の現在のリース会計に関する基準)では、リース契約について、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースのいずれかに区分した上で、それぞれ異なった会計処理をするように定められていました。
ファイナンス・リースに該当する場合は、リース物件を購入したときと同様に、リース資産とリース負債を貸借対照表に両建てするとともに、リース資産の減価償却や支払利息を別途認識することとなります。しかし、オペレーティング・リースに該当した場合は、支払リース料のみを費用計上すればよく、どちらのリース区分に該当するかが実務上大きな影響を与えていました。
今回の改正基準では、リース物件の借手の会計処理については、いわゆる使用権モデルを採用し、借手がリース資産の使用権を支配していれば、ファイナンス・リースと同様の会計処理を求めるということになりました。
【契約内容にリースの要素が含まれているかどうかの判断が重要】
いわゆる使用権モデルでは、借手がリース資産の使用権を支配していれば、従来のオペレーティング・リースに該当していた取引でも、リース資産とリース負債を計上することとなるように思えるかもしれません。
しかし、新しい基準では、契約内容がリースに該当するのか、リースに該当しないのかを判断し、リースに該当する場合にのみ、リース資産とリース負債を計上することになりました。
契約がリースに該当するかどうかは、下記の2要件を満たすかどうかで判断します。
(a)特定された資産の使用から生まれる経済的便益のほとんどすべてが得られる権利
(b)特定された資産の使用を指図する権利
英語ですと、下記の表現となります。重要なポイントとなるので、英語の原文も記載します。(Appendix BのB9より)
(a) the right to obtain substantially all of the economic benefits from use of the identified asset
(b) the right to direct the use of the identified asset
【具体的には?】
パソコンを借りる契約について検討してみましょう。ここからは筆者の私見が入ります。
仮に貸手にパソコンの入れ替えをする権利があるとすれば、上記の2つの要件で記載されている「特定された資産」とはいえないので、リースに該当しない可能性が高くなります。借手の視点から考えると、借手は契約期間を通じて一定の機能を有するパソコンが使えればよく、対象パソコンを特定することに価値がない場合、パソコンの供給者である貸手の判断に基づいてパソコンをリプレイスするということにつき、一定の合理性があるかと思います。そのような場合は、借手は一定の機能を有するパソコンを使うことができるサービスを享受しているに過ぎず、リースとはいえない可能性が高まります。
また、借手がパソコンを使用したり保有したりすることに制限がなければ、上記の要件(a)の「資産の使用から生まれる経済的便益のほとんどすべてが得られる権利」に合致すると思われます。具体的にはパソコンを使用する場所や時間に制約があると、借手はパソコンを使うことによって得られる便益に制限が生じる可能性がありますので、詳細な検討が必要となります。
さらに、借手が当該パソコンを第三者に又貸し(転リースあるいはサブリースといいます)できるのであれば、上記(b)の「特定された資産の使用を指図する権利」を満たすのではないでしょうか。
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