廃業ではなく、会社は生かしたまま事業を完全に停止した状態にする「休眠」。その定義や必要な手続き、税制度は一体どのようになっているのでしょうか?
日本・シンガポール両国の休眠会社について、その違いを詳しくお伝えしていきます。
【日本における休眠会社の定義とは】
あまり聞きなれない「休眠会社」という言葉ですが、一体、休眠会社とはどのような会社を指すのでしょうか。
まずは日本における休眠会社の定義についてお伝えしていきます。
◇休眠会社とは、「業務停止中の会社」
休眠会社とは、会社自体は存在しながらも、その一切の事業活動を停止している会社のことです。いわゆる「休業」状態の会社です。
廃業となると解散登記を行い、精算手続きを経た後に会社自体が消滅するのですが、休眠の場合は登記・清算が不要で会社も存在し続けます。
◇休眠に必要な手続きは3種類の「異動届出書」の提出
休眠状態にするためには、税務署・都道府県・市区町村の3か所に異動届出書(休業届)を出す必要があります。これは、会社にかかる税金である法人税・法人事業税・法人住民税の管轄がそれぞれ税務署・都道府県税事務所・市区町村役所だからです。
異動届出書は各ホームページからダウンロードできるほか、電子申請サービスを利用したWeb上の申請が可能なところもありますので、それぞれ事前に問い合わせてみましょう。
なお、届出を出す前には一切の事業を停止した状態にしておかなければなりません。収入・支出などのお金の動きがないことはもちろん、郵便・電話を受ける体制をなくすところまで、徹底して業務を休止する必要があるので注意しましょう。
【日本の休眠会社の税金は免除・減免される場合がある】
休眠会社にかかる法人税・法人住民税は、異動届出書の提出により免除・減免される場合があります。休眠中とはいえ会社は存続しているので課税対象になりますが、所得が発生しないため法人税はかかりません。
また、法人住民税は均等割を払う義務がありますが、異動届出書の提出により免除・減免される場合があるので、各市区町村に問い合わせてみましょう。
【シンガポールにおける休眠会社の定義とは】
日本の休眠会社に対して、シンガポールの休眠会社はどのようなものなのでしょうか。日本と比べつつご紹介していきます。
◇シンガポールの会社は「取締役会等の決議」で休眠できる
シンガポールの場合、事業全体を会計年度中一切行っていなければ、そのまま休眠会社と見なされます。また、取締役会などで決議されれば、そのまま休眠会社となります。
◇必要な法定手続きは特になし
日本と違い、法的な手続きは特にありません。
また、休眠をやめて事業を再開する場合についても法的な手続きは必要ないので、日本と比べて休眠しやすいと言えるでしょう。
休眠する場合にも、特に日本の場合は様々な手続きが必要です。手間はかかりますが、事業を再開する可能性を残しておきたい場合には休眠するのが良いと言えます。登記や確定申告等、手続きが変わるものもありますので、休眠を考えている場合は事前に司法書士や税理士に相談しましょう。