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中小企業庁発表 中小企業の 海外事業再編事例集の感想 その1

記事作成日2015/07/22 最終更新日2017/01/27

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はじめに

2015年6月に中小企業庁が発表した「中小企業の海外事業再編事例集」について、その記載内容を引用しながら、シンガポールに駐在している筆者から見た感想やブログ読者への提案を記載します。

この事例集の必見箇所は?

この事例集は文章が多いのですが、時間がない方は3ページの「1.海外事業再編に対応するための留意点」を見ていただければと思います。この事例集のまとめとなっています。このブログでも3ページから10ページの内容について取り上げていきます。

引用と筆者の感想や提案

「細字で記載」が引用箇所、太字が筆者の感想や提案です。

中小企業の海外進出と撤退について

はじめにの箇所から引用

「新興国の経済発展に伴う内需拡大を契機に、大企業のみならず中小企業の海外展開(直接投資)も加速傾向にある一方で、既に海外で事業活動を行っている中小企業においては、現地での経営環境の変化等に対応するため、進出先での事業再編(事業の縮小・撤退、第3国への移転等)に取り組むケースも増加してきています。

海外での事業再編は、多岐に渡りかつ専門的な知識と情報を必要とすることから、その経験のない中小企業が、自社単独で行うことには大きな困難が伴います。もし、海外事業の円滑な事業再編に失敗すれば、経営基盤の脆弱な中小企業の場合には、これが要因となって日本本社の経営が危うくなることも十分あり得ることです。」

→中小企業の進出が加速しているのは、シンガポールでも実感しています。製造業等コスト削減を重視する会社は人件費・地代の高騰をうけ、第3国へ移転するケースがあります。

正直撤退事例は東南アジア諸国ではそれほど多くない印象があります。私見ですが、人口も企業数も減少している日本にとどまることもリスクがあると思います。

進出前には起こりうるリスクを認識して備えていこうとしているが

はじめにの箇所から引用

「本資料が、現在、海外子会社に経営上の課題を抱えている中小企業(国内親会社)の方々にとって課題解決のきっかけとなり、また、これから海外展開を目指そうとしている中小企業の方々にとって、事業展開計画を策定する段階で、将来起こり得るリスクを想定し、その発生によって海外事業が停滞しないよう、また、停滞してもいち早く復帰・回復ができるような備えを検討する一助となれば幸いです。」

→初めて進出するエリアのリスクを漏れなく把握することは難しいので、最初は投資額を抑えて進出(駐在員事務所での進出が可能な国が多いです)し、現地駐在員に調査をさせることをお薦めします