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マイナス金利と金利スワップの特例処理 その2

記事作成日2016/05/19 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回も、金利スワップの特例処理と、マイナス金利との影響を記載します。

 

【金利スワップの特例処理の適用条件】

金利スワップについて特例処理が認められるためには、次の条件をすべて満たす必要があります(金融商品会計に関する実務指針第178項より)。

① 金利スワップの想定元本と貸借対照表上の対象資産又は負債の元本金額がほぼ一致していること

② 金利スワップとヘッジ対象資産又は負債の契約期間及び満期がほぼ一致していること

③ 対象となる資産又は負債の金利が変動金利である場合には、その基礎となっているインデックスが金利スワップで受払される変動金利の基礎となっているインデックスとほぼ一致していること

④ 金利スワップの金利改定のインターバル及び金利改定日がヘッジ対象の資産又は負債とほぼ一致していること

⑤ 金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定であること(同一の固定金利及び変動金利のインデックスがスワップ期間を通して使用されていること)

⑥ 金利スワップに期限前解約オプション、支払金利のフロアー又は受取金利のキャップが存在する場合には、ヘッジ対象の資産又は負債に含まれた同等の条件を相殺するためのものであること

※上記①の条件に関し、金利スワップの想定元本と対象となる資産又は負債の元本については、いずれかの5%以内の差異であれば、ほぼ同一であると考えて、この特例処理を適用することができる。

 

実務上は、金利スワップの契約書と金銭消費貸借契約書を手元において、上記6つの要件を満たしているかを確認することとなります。多くの場合、自らの判断を確実にするため監査法人や公認会計士にも確認します。

 

【マイナス金利時に金利ゼロを下限とした場合の金利スワップの特例処理適用の可否】

金銭消費貸借契約にマイナス金利を想定した明示の定めがない場合で、かつ、ゼロを下限とすると解釈する場合、上記の特例処理の要件の⑤を満たさず(借入金の変動金利がゼロとなり支払いが発生しないため)、金利スワップの特例処理が適用できなくなるのではないかという問い合わせが企業会計基準委員会にあったそうです。

同委員会で検討した結果、平成28年3月決算においては、これまで金利スワップの特例処理が適用されていた金利スワップについて、特例処理の適用を継続することは妨げられないという発表をしています。

詳細は、財務会計基準機構の Web サイトをご覧ください。

 

【金利スワップの特例処理の国際財務報告基準(IFRS)の取扱い】

では、シンガポールも含めIFRSではどうかお話します。

IFRSではデリバティブ取引として処理し、ヘッジ会計の要件を満たした場合はヘッジ会計を適用することとなります(国際会計基準第39号 金融商品の認識と測定95項)。

実は、金利スワップの特例処理は日本固有の会計処理なのです。

 

 

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