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タックスヘイブン税制 見直しの議論 その1 Anti-Tax Haven (CFC) Rules Part 1

記事作成日2016/10/21 最終更新日2017/01/27

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回は、日本の平成29年度の税制改正で見直しが議論されているタックスヘイブン税制についてお話をします。

なお、税制改正の内容は確定していません。今後の情報に注視する必要があります。

 

【現状のタックスヘイブン税制の概要】

軽課税国の外国法人を利用した租税回避行為を防止するため、税率20%未満の国において、一定の条件を満たした外国法人の所得に対して、日本法人の所得に合算して課税する制度です。

例えば、日本法人の子会社をシンガポールに設立して、日本法人と第3国の取引の売上について日本での課税をさけるため、契約上シンガポール法人と第3国の取引とし、シンガポール法人の売上としてシンガポールで納税することでグループ全体の法人税の支払いを軽減したとしましょう。

しかし、シンガポール法人が実態のないペーパーカンパニーであった場合は、シンガポール法人の売上は、本来日本法人の売上ではないかという疑義が生じます。このように本来日本法人に分配されるべき事業所得等について不当な軽減をしている場合に、タックスヘイブン税制が適用され、たとえシンガポール法人の所得であっても日本法人の所得に合算され日本で課税されることになります。

 

【現状のタックスヘイブン税制の特徴】

現状の日本のタックスヘイブン税制は以下の特徴があります。

1 税率が20%未満の国のみ適用される

2 もし、適用除外の要件を満たさず、タックスヘイブン税制が適用されてしまうと、外国法人のすべての所得が無条件で合算されてしまう

 

1については、タイやイギリスなど近年税率が20%程度の国が増え、日本よりも軽課税国が多くある中で、20%未満の国しか適用されないとなると、租税負担の不当な軽減を漏れなく把握できないのではないかという疑問があるのです。また、タックスヘイブン税制が適用されるには一定の条件があるのですが、この条件を画一的に適用することでも同様の疑問があります。

2については、先ほどの例でシンガポール側の視点で考えて見ましょう。シンガポール法人の所得がすべて日本法人に帰属すべき所得であればいいのですが、シンガポール法人の活動によって獲得できた売上が混ざっている場合に、所得のすべてが日本の所得として日本で課税されるというのはおかしいのではないかという疑問もあります。

 

【今回の改正はBEPSプロジェクトに基づく改正】

今回はG20のBEPSプロジェクトに基づいた改正といわれています。近年の多国籍企業の租税回避行為に対して、以下の点に留意して取り組もうということで合意をしました。

 

A 所得が生み出される国と納税地国に乖離が見られるようになったので、これを是正する

B 各国単独で多国籍企業の租税回避行為に対応するよりも、各国間で情報交換を活発にすることによって各国が協調して所得の把握漏れを防ぐ

 

日本のタックスヘイブン税制については上記の趣旨にもとづいて改正されます。このため、今回の改正は国際合意に基づいた大きな改正になるといわれています。

 

【次回】

次回は日本のタックスヘイブン税制の改正のポイントについてお話をします。

 

 

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