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シンガポールGSTの概要

記事作成日2017/06/25 最終更新日2023/06/09

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シンガポールの消費税制度(GST)について、日本と比較しながら説明いたします。シンガポールの消費税制度はインボイス方式の採用など日本と異なる点があります。

GSTの概要

シンガポールのGSTは、日本の消費税と類似の制度で、売上にかかるGSTから仕入にかかるGSTを控除し、その差額を納税することとなります。税率は7%です。なお、日本の消費税率は現在で8%ですが2019年10月に10%へ引き上げられる予定です。

登録制

シンガポールのGST は登録制となっており、登録企業のみがGSTの申告義務があります。このため、未登録の企業が顧客に対してGSTを請求することはできません。

例えば、100シンガポールドルのサービスを提供した場合、GST登録事業者は107シンガポールドルの請求をしますが、GST非登録事業者は100シンガポールドルの請求となります。消費者の立場からみると、同じサービスを受けたとしても供給業者がGST登録事業者かそうでないかで支払い金額が異なってきます。

100シンガポールドル分の飲食をした場合、107シンガポールドルの支払いとなるか、 100シンガポールドルの支払いになるか、供給業者によって異なってきます。

課税対象売上高

年間の課税売上高がSGD1,000,000(1シンガポールドル80円とすると8千万円)を超える場合、GSTの登録が必須となります。なお、日本の課税売上高の基準値は1,000万円です。

ちなみに、年間の課税売上高がSGD1,000,000を超えない場合であっても、GSTの登録をすることもできます。たとえば、輸出が多い商社などGSTの還付が期待できる業種については任意にGSTの登録をするかどうか検討することとなります。

計算方法

納税額の計算は、単純に売上GSTから仕入GSTを控除して、プラスであれば差額を納税し、マイナスであれば差額の還付を受けられます。日本の消費税の計算のように課税売上割合のような複雑な計算方式はありません。

申告と納付

シンガポールのGSTの課税期間は原則として3ヶ月単位であり、年4回の申告となります。申告期限は各課税期間の翌月末までとされています。このため、GST登録事業者の場合は、会計帳簿の作成も3ヶ月毎に行う必要があります。

ちなみに、日本では法人であれば原則として事業年度が課税期間となっています(国税庁タックスアンサーNo.6137 課税期間より)が、中間申告制度があり、1回から最大11回までの中間納付(消費税の支払い)が求められます。

請求書の記載事項に関する規定

シンガポールでは消費税に関してはインボイス方式を採用しております。

インボイス方式とは、課税事業者が発行するインボイスに記載された税額を控除することができる方式をいい、課税事業者が顧客にGSTを請求する場合は必ずTax Invoiceという請求書に適用税率・税額等所定の事項を記載して請求かつ保存をしなければなりません。

日本の場合も商慣行上請求書は作成し保存されていますが、請求書に適用税率や税額等が記載されていなくても会計帳簿に取引が記載されていれば税込み金額から消費税率を乗じて消費税を認識することが出来ます(これを日本の財務省では請求書等保存方式と呼んでいます)。

シンガポールでは売上仕入の記帳をしていてもTax Invoiceが発行・保存されていない場合は消費税を認識できないこととなってしまいます。また、GSTの登録をしていない企業(日本では免税事業者に相当)から商品等を仕入れした場合、日本と異なり仕入税額控除が出来ません。

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