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シンガポールの駐在員の個人所得税について

記事作成日2018/07/13 最終更新日2023/06/09

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シンガポールにおける個人所得税の扱い

シンガポールでは日本のような源泉徴収制度がないため、全ての個人が1月から12月の所得について、翌年の4月中旬までに確定申告を行う必要があります。

ただし、年間所得が2万2,000シンガポールドル未満の人や、シンガポール金融管理局から申告不要の旨の通知を受け取っている場合は、例外的に申告の必要がありません。

シンガポールでは、申告納税方式ではなく、賦課課税方式が採用されているため、申告と同時に納税するのではなく、シンガポール金融管理局が発行する納税通知を受けて、1ヶ月以内に納付を行うことになります。

課税対象となる所得は、シンガポール国内に源泉がある所得に限定されます。例えば、給与所得であれば、シンガポール国内における勤労に対する給与(ただし役員報酬は除外)がこれに該当します。

いかなる法人から支払われる給与であっても、シンガポール国内の勤労に対するものであれば、課税対象としてみなされます。

また、シンガポールでは日本と同じく累進課税制度が適用されます。課税対象となる最低所得は2万シンガポールドル。従来の個人所得税の最高税率が20%であったのに対し、2017賦課年度から年間にして16万シンガポールドル以上の所得に対する税率が変更され、32万シンガポールドルを超える所得がある場合、22%の最高税率が適用されます。

駐在員は居住者と非居住者どちらになるのか

シンガポールでは、駐在員に課される税金は、シンガポールに駐在しながらシンガポール外へ出張する場合など、居住者とみなされるか非居住者とみなされるかで税率が異なるので注意が必要です。

1月から12月までの期間で、シンガポール国内の滞在日数が182日以下の場合に非居住者となり、そのうち滞在日数が60日以内の場合は免税、そうでない場合は非居住者の税率で課税されます。

この場合、給与所得であれば一律15%となりますが、居住者税率で計算したときの金額と比べて大きい方が課税額となります。

183日を超える場合には、居住者であるとみなされます。滞在日数が182日以下であったとしても、翌年以降もシンガポールに引き続き滞在し、合計して183日以上となれば、居住者の税率が適用されます。この場合は、最高税率22%とする居住者に適用されるのと同じ累進税率で課税されることになります。

まとめ

シンガポールでは個人所得税に関して、日本とは全く異なる制度が採用されています。シンガポール駐在員の方は、納付の方法や課税対象となる所得、居住者と非居住者の違いなどに注意しながら、正しく対応してください。

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