[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]
【コンプライアンスとは?】
10年ほど前からコンプライアンスという言葉を良く聞くようになりました。コンプライアンスとは法令順守と訳されることがありますが、もっと広い概念でとらえ、社会の変化を的確にとらえ、社会規範(法令のみならず道徳的な考えも含む)に反することなく、事業を遂行していくことを指しているようにも思えます。
【情報化社会とコンプライアンス】
現在ではインターネットの発達やSNSの普及により、国内のみならず海外にもネガティブな企業情報が瞬時に伝わるようになりました。
筆者はシンガポールで仕事していますが、株式会社電通の従業員自殺問題についてはシンガポール人のみならずインド人も知っていて、日本の長時間労働の問題を認識しているほどでした。また、株式会社東芝の不正問題についても知られています。規模の小さい企業の事件であっても悪質と判断されると、マスコミに取り上げられなくても、インターネットやSNSで情報が出回ります。
ネガティブな情報が出回ると、企業のブランドイメージの回復には少なくとも数年はかかるでしょう。取引先の維持や人員の採用、株価の下落など多方面で影響がでます。
このため、紛争や不正については事前に予防するという考えが重視されてきています。
【コンプライアンスに抵触する行為の分類】
コンプライアンスに抵触する行為の代表例としては、下記の3つがあります。
1 汚職
2 従業員による不正、主に横領
3 経営者による不正、主に粉飾決算
1については、もっぱら予防法務を得意とする弁護士が活躍します。汚職が起きた場合の法律上の処理のみならず、どのような取り決めをしておけば汚職がおきにくいかというのもアドバイスしてもらえるのではないでしょうか。
2については、会社財産の流出により会計帳簿へマイナスの影響がありますので、主に公認会計士が活躍します。彼らは内部統制の知識と経験を生かして監査を実践していることから、感覚的に横領を防ぐ仕組みについてアドバイスができます。
3については、取締役や監査役のほか、企業を監査する公認会計士によって予防がされることとなります。しかし、経営者を直接牽制できる人はいないので、粉飾決算を事前に防ぐというのは難しいかもしれません。現在、株主との対話の機会を充実させ、株主が経営者を監督しようという動きもありますが、オーナー会社では有効な施策ではありません。
【どのようにコンプライアンス委員会を設置するか?】
コンプライアンスを果たすためには、社内にコンプライアンス委員会を設置し、社内の従業員と社外の弁護士や公認会計士なども加えて業務に従事するケースがあります。上記の経営者による不正を防ぐためにも、外部の有識者の参加も必要です。経営者に雇われている従業員は雇用されている立場である以上、経営者不正に対し無力となります。また、顧問弁護士も経営者から継続的に報酬をもらう立場である以上、経営者への牽制力としては弱くなります。コンプライアンス委員会専属の弁護士や公認会計士を加えることをお勧めします。
さらに、外部の専門家を加えるメリットとして、社内の従業員とは違った視点で事象を検討できる点もあげられます。筆者も経験していますが、社内の従業員は似たような環境下で仕事をしていますので、考え方も同じようになってしまい、解決策の抽出がうまくできない場合があります。
TOMAグループは、TOMA弁護士法人やTOMA監査法人を始め、各種専門家を抱えています。コンプライアンスに関する相談については幅広い問題に対応できる強みがあります。
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