BLOG

専門家によるブログ

海外展開企業向け会計&税務情報

キャッシュ・フロー計算書とは? その1 日本とシンガポールの実情 Statement of Cash Flows Part 1

記事作成日2016/08/18 最終更新日2017/01/27

X
facebook
copy

はじめに

今回から数回にわたり、キャッシュ・フロー計算書についてお話をしたいと思います。

海外ではキャッシュ・フロー計算書が作成されている

日本の上場企業をはじめとする有価証券報告書提出会社では、(連結)キャッシュ・フロー計算書が開示されています。しかし、それ以外の会社では、キャッシュ・フロー計算書を作成しているケースをあまり見かけません。

その一方で、シンガポールの会計基準(FRS、Financial Reporting Standards)では、FRS 7のStatement of Cash Flows第1項にて、企業はキャッシュ・フロー計算書を作成しなければならないとしており、比較的小さな企業をも対象としているシンガポールの会計監査制度もあいまって、多くの企業がキャッシュ・フロー計算書を作成しています。国際財務報告基準でも同様の扱いとなっています。

FRS第7号の第1項(英文)では、下記の通りに記載されています。

An entity shall prepare a statement of cash flows in accordance with the requirements of this Standard and shall present it as an integral part of its financial statements for each period for which financial statements are presented.

筆者の経験ですが、日本法人のシンガポール支店の登記をしようとして決算書をシンガポール人に見せたところ、なぜキャッシュ・フロー計算書がないのかと何回も聞かれたことがあります。

また、シンガポールの会計監査人と話をしていても、日本の非上場会社について連結財務諸表が作成されていないケースが多いことや、会計監査が実施されていないケースが多いこと、また、キャッシュ・フロー計算書がないことも不思議に思われているように感じます。

他のASEAN諸国の会社の決算書を見かけますが、これらの国ではキャッシュ・フロー計算書が添付されています。

次回

次回は、海外ではもはや常識と思われるキャッシュ・フロー計算書の内容と見方をご説明します。