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インド・バンガロール – India Bangalore

記事作成日2015/07/29 最終更新日2021/05/27

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記事の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。

はじめに

今回はインドのバンガロールという都市についてご紹介します。

インド概況(地域名から日系企業進出状況までJETROインド基本情報・概況より引用)

・国・地域名:インド India
・面積:3,287,263平方キロメートル(日本の約8.8倍)
・人口:12億1,019万人(2011年センサス)※センサスは10年毎に発表
・首都:デリー 人口1,675万人(2011年人口センサス)
・言語:ヒンディー語、英語、ウルドゥー語、ベンガル語
・宗教:ヒンドゥ教(80.5%)、イスラム教(13.4%)、キリスト教(2.3%)など(2001年センサス)
・公用語:ヒンディー語(連邦公用語)、英語(準公用語)
・実質GDP成長率(%):6.9
・一人あたりのGDP(名目):1,505ドル
・消費者物価上昇率(%):9.7
・日系企業進出状況:企業数:1,209社(3,961拠点)備考:2015年1月、在インド日本国大使館 進出日系企業リストより

インドの人口ピラミッド

以前、このブログでも取り上げましたが、2015年から人口ボーナスの期間に突入しており、経済的繁栄のチャンスを迎えているとの経済学者の調査もあります。日本と違い人口ピラミッドがきれいな三角形をしていますので、何かとチャンスがある国ではないでしょうか。

バンガロールという都市

今回訪問したバンガロールは、インドの南の内陸部にあるデカン高原の南、カルナータカ州南西部のマイソール高原の上に位置し、標高は920mあります。市域人口は952万人(2015年1月)と推定されている都市です。

なお、日本人数は首都デリーに次ぎ2番目となっています。

標高が高い場所にあるため、年間の気温も20度から25度ぐらいで安定しており、隣の大都市であるチェンナイなどと比較すると、すごしやすい都市といわれています。筆者も訪れてすごしやすいと感じましたし、家族連れの赴任でも適応できるのではと思いました。なお、日本から訪問する場合は直行便がありません。経由便で訪れることとなります。

進出企業の業種

製造業とエンジニアニング及びIT系が進出しています。製造業は自動車・部品・家電・工作機械が核となっています。IT系は欧米系企業が以前から進出しているのですが、それら欧米系IT企業が欧米文化を持ちこんだことにより、バンガロールが他のインドの都市と異なる雰囲気になっているとも考えられます。

バンガロールへ進出した日系企業は2014年10月現在、308社です。

最近のトピックとして、ホテル業や病院の進出もあり、特にサクラ・ワールド・ホスピタルというクリニック(セコム医療システム・豊田通商・インド財閥のキルロスカ・グループの合弁で運営)はインドの方のみならず日本人にも好評な病院だそうです。あくまでも基本はインド人を対象としており、別途日本人対応デスクを設けて日本人にも対応するスタンスを取っています。

言語

ビジネスは英語とのことです。また、街を歩いていても皆さん英語を話します。看板も英語が多いです。英語に対応できればなんら問題はないと感じました。

私見ですが、発音が独特で聞きなれるまでには時間がかかるかもしれません。何回も聞きなおしたケースもありました。私の英語力不足かもしれませんが。

人件費

現時点で、新卒者で月20,000ルピー(40,000円)、3年目ぐらいの方で30,000ルピー(60,000円)が相場です。あと、ボーナスを年収の15%程度の割合で支給しています。気をつけたいのは、インフレ率高いので、毎年人件費が10%近く上昇することです。この点は他の経済発展中の国と変わらない印象を持ちました。

インドにも公認会計士(Chartered Accountant。以下、CA。英国の勅許会計士協会ACAにより認められた会計士)がおり、バンガロールで彼らを雇う場合の相場を調べたところ、100,000~150,000ルピー(200,000円~300,000円)となっていました。

労働者

人材の確保が困難なケースは少なく、強いて言えば溶接工が足りないそうです。溶接工が足りないといわれているのは、溶接工の方の数はいるが、求めているスキルをもっている方が少ないためです。インドにも日本の高専の位置づけの学校があるのですが、供給が需要に追いついていません。新たな製造業が進出し、より高い給料で募集すると転職をする労働者が多いそうで、スキルを持った人材は取り合いになっているとの話を聞きました。

それでもメーカーの離職率は3%程度、コンサルやIT系企業の離職率は17%程度、労働時間も日本と似ていて、メーカーは基本定時でおわり、コンサルやIT系は一日12時間程度働いています。なお、IT系の企業は会社内にジムや食堂などがあり、休憩中にジムで体を動かしていたりしているのかもしれません。

女性の労働時間については近年暴行事件が起きたため、夜10時以降は働くことが出来ないルールに改正されたとの話を聞きました。

事務所家賃

中心地で1スクエアフィート90から150ルピー(1スクエアフィート=約0.09㎡、1㎡1,000ルピーから1,666ルピー、日本円で1㎡2,000円から3,332円)程度とのことです。インフレ率が高いので毎年10%程度賃料が上昇します。

住居家賃

ワールドトレードセンター付近の家族で住む部屋で53,000ルピー(106,000円)ですが、契約時期などによって同じ物件でも金額にバラつきがあるのが特徴です。また、契約期間もまちまちですが、2年程度ですと敷金を10ヶ月要求されるケースもある(オーナーとしては金利が高いので敷金を運用して儲けている)と聞きました。

日本人が相手となると金額を吹っかけてくるオーナーが多いようなので、相見積もりをとるなど気をつけたほうがよさそうです。なお、インフレ率が高いので事務所家賃と同様、毎年10%程度賃料が上昇します。

政治

2012年に政権が交代しましたが、その前もその後も経済に悪影響を及ぼすことはなかったそうです。

進出形態

インド進出は、駐在員事務所・支店・現地法人どれでも可能ですが、外資規制がある業種はこれに従う必要があります。駐在員事務所はおおよそ3年から5年で支店もしくは現地法人への変更を求められます。支店と現地法人では法人税率が異なり、現地法人のほうが低めに設定されています。

外資100%進出可能であっても現地のパートナーと合弁や業務提携を組むケースが多い状況です。独資で進出するのは、はじめからお客様がいる場合に限られるのではないでしょうか。

税金・監査

インドには所得税・法人税・付加価値税(日本で言う消費税に近い税)等がありますが、課税対象期間が毎年4月から翌年3月と決められています。また、インドでは駐在員事務所・支店・現地法人問わず、全てCA(Chartered Accountant、日本では公認会計士と呼ばれる)の監査を受けなければなりません。

宗教・文化

インドはヒンズー教が8割を占めています。しかし、朝出勤前にお祈りするだけで、特段仕事中は特別な配慮をする必要はありません。なお、イスラム教の方はお祈りをする人がいるので、日系企業では会議室を貸すことで対応しているそうです。

治安

バンガロール市内は危険な地域はありません。人々もおっとりしている方が多いそうです。強いていえば、郊外の立派なビルのそばが危ないと聞きました(お金を持っている人が住んでいると思い、窃盗目的で寄ってくる)。

メイドさんや運転手さんの相場は月20,000ルピーです。気をつけたいのは運転手さんの家族などで悪い人がいると面倒なこととなるケースがあるので、採用する場合には家族構成なども確認するようにとのことでした。

教育

バンガロールには日本人学校はありません。カナディアンスクールなどのいわゆるインターナショナルスクールがあり、年間50万から100万円程度の学費がかかるとのことです。日本人学校はデリーとムンバイのみで、ムンバイもビルの一室程度の施設とのことです。