この記事では、従業員の賃上げについてお悩みの経営者の方に対して、賃上げの対応、方法、戦略の策定、などを解説いたします。財務インパクトを把握したうえで、売上増加と経費の見直しを戦略的に実施しましょう。
目次
賃上げの実施可否について
売り手市場における採用において賃上げを実施できなければ、在籍している従業員が毎年昇給を実施している他企業へ転職してしまい、数年後には深刻な人手不足に陥る可能性があります。人員がいなければ事業自体が立ち行かなくなるでしょう。
しかし、そうは言っても賃上げを行うと利益が減ってしまうため頭を悩ませている経営者様が多いかと思います。そこで今回は、原資の確保方法と、つなぎ止めた人材を定着させ、意欲高く働いてもらい、業績を上げるための考え方を解説します。
財務への影響と原資を確保するための2つの方法
まず “賃上げが経営に与える財務インパクト” を把握しましょう。単純に昇給後の人件費がどのくらい上昇するか、というところから一歩踏み込んで、どれだけの売上を上げなければいけないのかを理解することが重要です。以下の基本的な計算方法で、必要な売上高を算出します。
「売上を上げる」のが困難である場合、もう一つの方法として「経費を削減する」ことを考えるのも良いでしょう。さらに、経費削減は「固定費削減」「変動費(原価)削減」に分けて考えられます。どの方法が今の自社にとって効果が大きいか、早期の着手が可能かを検討し、これらを目標数値として経営計画に落とし込んで確実に実行していくことが大切です。
売上を増やす -戦略策定と価値向上-
❶成長戦略を策定する
現状を整理し、解決策となる戦略を策定するためにフレームワークを活用しましょう。「クロスSWOT分析」では、まずSWOT分析で自社や業界の直面する外部環境(機会・脅威)と、経営資源などの内部環境(自社の強み・弱み)を検討して列挙します。さらに、その4つの項目で挙げられた要素を掛け合わせることで、今後行うべき施策、戦略をより客観的に立案することが可能です。
❷製品価値を向上させる
自社の製品を購入してもらうには、「他社ではなく、自社で買うべき理由」を明確にすることが大切です。「最先端技術」「歴史がある」といった自社目線のアピールではなく、お客様から見て「どんなメリットがあるか」「応援したくなるような“ストーリー”があるか」が重要になります。
たとえば、最先端技術を採用している場合でも、「それがお客様にどう役立つか」というメリットを顧客視点で語りましょう。
コスト削減は行動できるレベルへの細分化が鍵
経費削減で大切なのは、毎月発生する経費など財務上の影響が大きいものから優先順位をつけることです。以下のような流れで、削減すべきコストを洗い出して、実践していきましょう。
賃上げを経営者視点と真のモチベーションを育む機会に
単純な賃上げは人材流出をつなぎとめるだけの策ですが、やり方次第では今後の大きな成長につながるチャンスになります。よって、賃上げに必要な業績目標を示し、従業員と共に企業業績と賃上げの両方を上げる仕組みを構築する必要があります。
さらにいくらの売上を伸ばせばどれだけ還元されるのか理解してもらったうえで目標を掲げると、それは与えられた数字ではなく実現したい数字になります。そして目標達成に向けて行動計画を作り、経営者と従業員が一体感を持って取り組むことで、結果賃上げの原資が生まれ、働くモチベーションも内面から育まれます。
TOMAでは、そのための経営計画の策定をはじめ、成長戦略の立案や業界平均の数値と比べながらの経費削減のお手伝いなども可能ですので、ご興味がありましたらぜひお声がけください。経営コンサルティングサービスの詳細はこちらよりご覧いただけます。