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エンゲージメント調査と従業員満足度調査の違いとは?~2つの本質を理解して100年企業創りへ~

記事作成日2024/10/25

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近年、企業の経営において「従業員エンゲージメント」と「従業員満足度」という2つの概念が注目されています。どちらも従業員の意識や行動に関わる指標ですが、それぞれが測定するものやその目的には大きな違いがあります。本記事では、従業員エンゲージメント調査と従業員満足度調査の違いについて解説します。

組織においての従業員エンゲージメント調査とは

組織においての従業員エンゲージメント調査(以下従業員エンゲージメント調査)は、従業員が仕事にどれだけ積極的に取り組んでいるか、そしてその組織に対する情熱やコミットメントを測定するものです。

従業員エンゲージメントは、単に仕事に対する満足感以上のものであり、従業員が自発的に努力を惜しまない姿勢を示す指標となります。従業員エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して意欲的で、企業の成功に強く貢献しようとします。

従業員エンゲージメントが高いことは、従業員が企業の目標や価値観と一致していることを意味し、結果的に生産性の向上や顧客満足度の向上、さらには企業価値の向上にもつながります。従業員エンゲージメントは、従業員が「自分の仕事に意味を感じる」ことや「成長を実感できる」環境が整っているかどうかに強く影響されます。

従業員満足度調査とは

一方、従業員満足度調査(以下満足度調査)は、従業員が職場環境や仕事の内容に対してどれだけ満足しているかを測る調査です。満足度調査では、給与、福利厚生、上司との関係、仕事とプライベートのバランスなど、働く環境や条件が評価されます。

満足度が高い従業員は、一般的にその企業で長く働き続ける傾向がありますが、必ずしも生産性や企業への積極的な貢献度が高いとは限りません。

従業員満足度は、「従業員がどれだけ快適に働けるか」を重視しており、個々のニーズや期待がどれだけ満たされているかが焦点となります。これは従業員が離職を考えるかどうかの判断材料にもなり、組織にとって重要な指標であることは確かです。

違いの本質

従業員エンゲージメントと満足度の大きな違いは、そのアプローチと結果にあります。

従業員エンゲージメントは、従業員がどれだけ主体的に行動し、企業の成功に貢献しようとしているかという「行動」を測るものに対し、満足度は、従業員が現在の環境にどれだけ満足しているかという「状態」を測るものです。従業員エンゲージメントが高いからといって、必ずしも満足度が高いとは限りません。

例えば、従業員エンゲージメントが高い方は、たとえ現在の環境に一部の不満を持っていたとしても、企業の目標達成のために主体的に行動し、成果を上げる傾向があります。

一方、福利厚生や給与に満足している従業員がいたとしても、仕事に対する情熱やコミットメントが低ければ、生産性の向上や企業目標の達成にはつながりにくいのです。

組織・人材に悩む方へ

企業の成功には、従業員エンゲージメントと満足度の両方を高めることが重要です。まずは満足度を高め、従業員が働きやすい環境を整えましょう。次に、従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員が仕事に意味を見出し、自らの成長を実感できる環境を提供することが重要です。

これを実現するためには、経営戦略と人事戦略を連携させる必要があります。

経営戦略は、企業が目指すべきビジョンや目標を定めるものですが、その実現には、従業員一人ひとりがそのビジョンに共感し、貢献したいと思える環境を整えることが欠かせません。

カギとなる人事戦略

ここで重要になるのが人事戦略です。人事戦略は、従業員が自分の役割に意味を感じられるような仕組みを作り、成長を促すものです。これにより、従業員が主体的に行動し、組織のビジョン達成に向けて積極的に貢献するようになります。

つまり、経営戦略によって定められた目標を達成するためには、まず人事戦略を通じて従業員エンゲージメントと満足度を高めることが必要です。これにより、従業員が目標に向かって主体的に動く環境が整い、企業全体が一体となって成功へと向かうことができます。

さらに、組織のビジョンや目標に従業員が共感できる環境を作るためには、リーダーシップやコミュニケーションが重要です。経営理念やクレドを策定し、それを適切に従業員へ伝え、日々の行動に反映させるためには、これらの要素が欠かせません。

全従業員が共通の目標に向かって進むための指針となるためには、リーダーシップによる方向性の示し方やコミュニケーションの質が重要となります。

※参考文献

・木戸貴也「従業員満足、顧客満足と企業業績の関係に関する一考察」兵庫県立大学
・橋場俊展「我が国の従業員エンゲージメントに関する一試論―批判的見解を含む示唆的所論を手がかりに―」名城論叢  第 22 巻 第4号

まとめ

従業員エンゲージメント調査と満足度調査は、どちらも企業の成長を支える重要なツールです。

それぞれの調査の結果を適切に分析し、バランスよく活用することで、企業は従業員のモチベーションを高め、持続的な成長を実現することができます。経営・人材に関わる方はこの違いを理解し、従業員エンゲージメントと満足度の両方に目を向けることで、従業員と共に企業を発展させる道を探る必要があります。

TOMAの組織診断サービス

企業の従業員エンゲージメント・満足度に対する重要性はご理解頂けたかと思います。しかし、実際に自社で従業員エンゲージメント調査・満足度調査をしたいと思っても、簡単にできるものではなく、また外注するにしても、金額の都合や提供サービスのニーズが一致しないなどあるかと思います。

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方法以下、2つのポートフォリオを駆使して調査します。

1.  二要因理論(動機づけ要因・衛生要因)による分析
・2つの要因に分けて、現在の組織がどのような状態にいるのかを分析します。

2.  As Is /To Be分析
・現状と理想を比較して、現状の問題に着眼点を置くわけではなく、あるべき姿(理想)と現状のギャップがどの程度あるのかを分析します。
特徴従業員の不満や問題が早期に浮き彫りになり、組織がすばやく実効性のある対応が可能になります。経営者に”こういった組織“であって欲しいという視点で従業員と同じアンケートにお答え頂きます。経営者の望む組織の姿と従業員の気持ちを比較することで本当に解決すべきことを浮き彫りにします。

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