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【井村屋・能作・櫻井印刷所】これからのリーダーシップと組織づくり(第8回100年企業サミットレポート)

記事作成日2024/08/09

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100年企業。それは幾多の危機を乗り越え、時代の変化に対応し成長を続け、連綿と歴史を紡いできた企業です。

TOMAでは「100年企業サミット」として、こうした創業100年超の企業の経営者をお迎えし、現在そして未来へ向けて革新を続ける経営力を学ぶ講演会を主催しています。

2024年7月11日には第8回となる「100年企業サミット」を開催。井村屋グループ(創業128年)、能作(創業108年)、櫻井印刷所(創業100年)の100年企業3社の老舗企業の女性経営者3名をお迎えし、これからのリーダーシップと組織づくりについてのパネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッション「これからのリーダーシップと組織づくり」

本ブログでは、そのパネルディスカッションの一部をご紹介します。
「人に焦点を当て即実行される経営姿勢に感動した」
「経営者としての大切な心構えをあらためて勉強できた」
など多くの満足の声をいただいた100年企業の経営者の考え方にぜひ触れてみてください。

「第8回100年企業サミット」の全容は、アーカイブ配信や電子ブックで閲覧可能です。ぜひご活用ください。
>アーカイブ配信の視聴はコチラ(無料会員登録のみで視聴可能)
>電子ブックのダウンロードはコチラ

お三方に「これからの時代に求められるリーダーシップ、組織を束ねる力」について、ご自身の考えを伺いました。

1人の100歩より100人の1歩【井村屋グループ 代表取締役会長 中島伸子 氏】

私の前は、20年間会社の代表をしてきた方がトップでいらしたんです。全部の会社で実務をされたスーパーマンのような方です。でも私はその力はありません。スーパーマンにはとてもなれず、今からでは遅いということもありましたので、私自身が社長として打ち出したのは、1人の100歩より100人の1歩です。

これからはチームの力をどう高めて総合力を出すか。人には強い部分と弱い部分もあると思いますし、仕事も一緒だと思います。失敗と成功があり、その失敗は次のプラスにするには1人の力では難しいけど、みんなの力をもってすれば必ず成功に導ける。

これだけAIが発展しますと強みの持ち方がちょっと変わってきていると思います。

今年はプロの1人とチーム100人の掛け算。ですから、ぜひプロの仕事をしてください、そしてそれをチーム100人で共有、掛け算して高めていきましょうということを浸透させようと、今実施しているところです。人の力は無限大だと思いますし、私自身はそれを信じてやっているところです。

また、全員の名刺に書いてあるのですが、今年の活動指針は「先義後利」で、われわれ井村屋グループを通して人生をしっかりやろうという人たちが集まっていると考えております。

ぜひそういう人たちが社会にどのように貢献していくか、貢献できる人をどれだけ増やすか、私はそれが経営者としての仕事だと思いますし、また経営冥利に尽きるなと思いますので、そのような社会への貢献を先に考えるような進め方をしているところです。

多様な個性を引き出す力~女性リーダーとしての編集者的視点~【能作 代表取締役社長 能作千春 氏】

私は多様な人材の多様な個性を引き出すことができるリーダーだと思っています。最近、弊社に入社してくれるスタッフは、例えば職人でも、ものづくりをやっていましたとか、あるいはそういう専門学校に通っていましたという方は、ほぼいません。

観光で能作が好きになって入社を希望する人や、教師をやっていたけれど辞めて職人になった人、あるいは元美容師から職人になった人など、そういった多様な人材がいます。

前職ももちろんそうですし、性別も問わず採用しておりますので、女性を増やそうとは思ってないのですが、今、たまたま女性雇用率でいうと75パーセント女性ですね。もちろん国籍もそうです。今年に入り、中国の方も採用しました。

面白いのは、例えば弊社は産業観光をやっていますので、今の季節だと小学生の子どもさん向けの夏休みの自由課題プランというものを提供しており、職人たちが自ら子どもたちに指導しています。指導をやりたいと、たくさん手が挙がるようになってきて、現在は国民的キャラクターとコラボレーションをした鋳物製作体験も行っております。

何千人という方が来られる中で、部署問わずチームを結成して、プロジェクトとして接客しています。作り手としてだけではなく、売り手として企画者としていろんな業種に携わらせてあげることで、その方が本当にすごい才能を発揮することがあるんです。

それを見つけてあげることで会社としての成長速度というのは急速に上がっていくと思っているので、私はそういった多種多様な才能を見つけて編集できる編集者でありたいと思っています。

【藤間】
人手不足の中でこういう人でなければいけないと思って制限をすると、可能性が減ります。今おっしゃったように、多種多様な人でやってみる。失敗もあるかもしれないが、そういうチャレンジングが必要ではないかと私は思います。それでその人の可能性を見つけてあげる、そしたらその人がそこで生き生きと働くかもしれない。そうではないかもしれない。これがやはり人生の面白さだと思いますね。

チーム力と健全なコミュニケーションで築く明るい職場環境【櫻井印刷所 代表取締役 櫻井理恵 氏】

ちょうど最近、リーダーシップとは何かという話をチームリーダー以上で話をする機会がありました。自分なりにまとめたことを今、少し思い出してメモしたのですが、一つはチームという部分を、印刷会社はどこよりも持たなきゃいけないというのがありました。

例えば印刷機械に行く前に、当社は制作をやっているので、撮影する、モデルさん頼む、動画が入る、ヘアメイクさん頼む、当然、見積もりもして髪も決めて、といろいろあるのに、自分だけが1人でやっていてやり切れなかったからいいやみたいな風潮がありまして、何となく社員がばらばらになっていた時期がありました。

それらをチーム化してどうやっていくかという話し合いを2年半ぐらい重ねているうちに、だんだん何か一つの案件に対してみんなで知恵を出し合うことができてきました。ここ最近ちょっと新しいお仕事をいただいて、忙しいとやはりみんなでやるというのが常態化してくるというか、常にみんなで話し合うというようなところができてきました。

さらにそこから進みまして、現場の人がデザイナーって何やっているの、印刷で出てくるデータってどうやって作っているの、きょう工場開いてる? 暇だから見に行ってみようかと言って、現場の方が営業に出てくれたり自発的にやってくださって、こんなこともあるんだと私がびっくりするような提案を部長さんたちがしてくれたりしました。

あともう一つが私自身の反省でもあるのですが、人を叱れなかったんです。なかったことにしたほうが変なストレスがないと思っていたのですが、逆でした。言ったほうがストレスがない、言わないほうがずっともやもやして、あの人こうだったみたいなふうに思ってしまうなと思いました。

それが言わなきゃいいやという風潮をちゃんと叱れるように変えようということで、みんながいい意味で意見を取り交わせるようにしたいなと思いました。それはリーダーシップに必要なところだと思っています。

あと先日、「櫻井社長、いつも楽しそうにしているからいいんじゃないの、社員さんも頑張んなさいよ」ってうちの部長の前で言ってくださったお客さんがいました。まあそうですね、みたいな感じで、しょうがないなみたいな感じではあったのですが、非常に私はうれしかったです。

私自身、実は仕事の内容に対してストレスがほとんど感じません。お金のことばっかりはストレスを感じますが、それ以外はあまり感じないので仕事が楽しくてしょうがなかったです。だんだん社員さんも、まあしょうがないなみたいな感じではあるのですが、すごく今、風通しがいい社風になってきていると思っています。

人材に関しては、実はうちは1人辞めてしまうと、すぐにマイナビさんやリクナビさんにお金をかけて募集しても、すぐに採用したものの合わずに半年後にはいなくなってしまった、というようなことを繰り返していました。最近はSNSやウェブからでも、櫻井印刷所で働きたいという方が社員さん、パートさんともに来てくださるようになりました。

そういう方こそ私は一緒に働きたいと思いましたし、本当に人が少ないのかということをよく考えるようにしています。そういった見極めも含めてリーダーシップを取っていき、組織がどのような人を求めているのかというのを、ちゃんと会社として発信できるようになっていったらいいなと、今、思っているところです。

【藤間】
すごい良い言葉です。やはりリーダーが楽しそうにしているってすごく重要です。私は倫理法人会の学びで『明朗・愛和・喜働』という言葉を読みました。朗らかでみんなと仲良くして喜んで働いている人には、みんなついてきますよね。これを各幹部やリーダーが率先したらついてくる。だから櫻井社長はそうやって動いているから、何となく文句言いたいけどいいやって気になるのではないかなと私は思います。このリーダーだったらついていこうかとそんな感じがしますね。

いかがだったでしょうか。下記のアーカイブ配信や電子ブックではサミットの全容を閲覧可能です。各社のコアコンピタンスや最大の危機とそれを乗り越えた方法、女性管理職育成の取り組みなど、今必要とされるリーダー像を企業規模や背景の違うお三方の言葉から学べます。ぜひご覧ください。

>アーカイブ配信の視聴はコチラ(無料会員登録のみで視聴可能)