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企業におけるキャッシュフローとは?重要な点を分かりやすく解説!

記事作成日2020/03/26 最終更新日2023/09/04

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「売上が好調なはずなのに資金に余裕がない」「設備投資にどれほど金額をかければ良いかわからない」と悩んでいませんか。会社のお金の動きを正しく知ることは、経営を安定させるために欠かせません。

今回は、企業活動を行ううえで欠かせないキャッシュフローについて解説します。キャッシュフローの改善を検討している中小企業のオーナーは、ぜひ参考にしてください。

キャッシュフローとは

企業におけるキャッシュフローとは?重要な点を分かりやすく解説!

キャッシュフローとは、お金(キャッシュ)の流れ(フロー)をいい、会社では一定期間における現金の増減や実際に手元にある現金・預金残高を指します。

会社に入ってくるプラスのお金をキャッシュイン(キャッシュ・イン・フロー)、会社から出ていくマイナスのお金をキャッシュアウト(キャッシュ・アウト・フロー)と呼び、企業活動でキャッシュインとキャッシュアウトが相互に起こることでキャッシュフローが生まれます。

【 キャッシュフロー = キャッシュイン - キャッシュアウト 】

つまり、キャッシュアウトよりもキャッシュインを多く維持できるとキャッシュフローはプラスとなって会社の資金が増えていき、反対の状況ではキャッシュフローがマイナスとなって会社の資金は減っていると判断できます。

キャッシュフローがマイナスに傾くと会社の資金を「持ち出している状態」となり倒産のリスクが高まるため、企業活動ではキャッシュフローを把握した経営管理を行うことが欠かせません。

とはいっても、企業活動における投資や出資、未回収の売掛金などにより一時的にキャッシュフローがマイナスとなることもあります。

基本的に、キャッシュフローはキャッシュインを早めてキャッシュアウトを遅らせることで安定した経営を目指せます。会社のキャッシュフローがどのように推移しているのか、マイナスとなる要因を探り、経営を安定させていく意識が重要です。

通常、会社のキャッシュフローは目に見えるものではありませんが、財務三表と呼ばれる以下の3つの書類を作成・確認することで、会社にどれほどのお金があるのか、どのようなキャッシュフローで経営が成り立っているのか把握することができます。

会社のキャッシュフローを確認するための3つの書類

・損益計算書(P/L)

損益計算書(そんえきけいさんしょ)とは特定の期間(一般的には一年間)における収益・費用・利益をまとめた資料のこと。

・貸借対照表(B/S)

賃借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)とは特定の日(一般的には決算日)時点の会社の資産・負債・純資産をまとめた資料のこと。

・キャッシュフロー計算書(C/F)

キャッシュフロー計算書とは一会計期間中における資金の増減に関して営業活動・投資活動・財務活動に分けてまとめた資料のこと。

キャッシュフローはどのように計算される?

キャッシュフローを算出する際は、キャッシュフローと損益の違いを正しく理解しておく必要があります。会計業務では、損益を計上するタイミングとキャッシュインやキャッシュアウトの発生するタイミングが異なるためです。

そもそも損益とは、売上から仕入などにかかる費用を差し引いた金額をいい、基本的には以下のように計算できます。

【 損益 = 売上 - 費用 】

500円で仕入れた商品を1,500円で販売した場合の損益は

1,000円 = 1,500円 - 500円

上記の場合、売買が成立した時点で1,000円の利益を計上できますが、キャッシュフローにおいては、実際にキャッシュインが発生しなければキャッシュフローが計上されることはありません。

例えば、売買成立時に翌月末請求の請求書を発行して販売代金を回収する場合、利益が生じるタイミングとキャッシュインがあるタイミングには1ヶ月以上のずれが生じることになります。また、キャッシュフローでは仕入れにかかった費用も仕入れ時ではなく、支払い時にマイナスとなり、やはりずれが生じます。

損益とキャッシュフローの計上タイミング

  仕入時 仕入代金支払時 売買成立時 販売代金回収時
損益 ▲500円 変動なし 1,000円 変動なし
キャッシュフロー 変動なし ▲500円 変動なし 1,000円

このようなことから、損益とキャッシュフローは常に異なる数字が算出され、計上のタイミングにはずれが生じています。経営状況の確認などを目的としてキャッシュフローを算出する場合は、損益に関係なく、対象期間のキャッシュインからキャッシュアウトを差し引いて計算しましょう。

キャッシュフローはなぜ大切なのか

キャッシュインとキャッシュアウトを繰り返して循環するキャッシュフローは、人間の体に例えると「血液」にあたるといわれています。

身体機能の維持・成長のため、血液は体中を循環していますが、どこかで止まったり、大量に出血したりすると身体機能に支障が出てきます。出血量以上に血液を作ることができない、身体機能を維持するだけの血液がないといった状況になれば、やがて人は倒れてしまうでしょう。

これを会社に置き換えると、会社に十分なキャッシュフローが不可欠であることが分かります。経営のためにキャッシュフローが安定している間は企業活動を続けることができますが、キャッシュインが遅れたり、キャッシュアウトが多すぎたりすれば倒産のリスクが高まります。

また、限られたキャッシュを適切に循環させることで、会社の成長・発展を見込めます。人間の体は新しい細胞に生まれ変わる機能を生まれながらに持っていますが、会社は自分たちが成長のためにキャッシュを循環させなければなりません。

一部分だけにキャッシュが集中する、どこかでキャッシュが足りていない、そもそも成長のためにキャッシュが使われていないという状況が発生すれば、会社としての機能を保つことも、成長を遂げることもできなくなってしまうでしょう。

会社の成長・発展には、「営業活動」と「投資活動」に好循環のキャッシュフローを生み出すことが重要です。次は、営業、投資、財務、それぞれのキャッシュフローの特徴について解説します。

営業活動におけるキャッシュフローとは

営業活動におけるキャッシュフローとは、会社の本業で増減するお金の流れを表す数字です。営業活動におけるキャッシュフローからは、「会社がどれだけお金を稼ぐことができるのか」「本業でキャッシュが増やせているのか」といった情報を読み取ることができます。

営業活動におけるキャッシュフローには、以下のような収入・支出が挙げられ、収入はキャッシュフローのプラス要因、支出はキャッシュフローのマイナス要因となります。

・商品やサービスの売上による収入(プラス要因)
・商品やサービスの仕入による支出(マイナス要因)
・社員の給料支払いなどの支出(マイナス要因)
・光熱費の支払いによる支出(マイナス要因)
・減価償却費(プラス要因)

これらの収入・支出を差し引きしてキャッシュフローの数字がプラスになると、会社にお金が流れ込んでいる=稼いでいると判断でき、売上や業績が好調であることが分かります。

反対に、キャッシュフローの数字がマイナスの場合は会社の資金を持ち出している状態のため、その期間が長く続けば売上や業績が低迷していることが分かります。営業活動におけるキャッシュフローがマイナスに傾いている状態が長く続けば企業活動を存続することはできません。キャッシュフローがプラスになるよう経営体制を見直していくことが必要です。

営業活動によるキャッシュフローは、体の機能に例えるならば「造血」にあたります。体に必要な血液を自分で作り出す(企業活動に必要な資金を稼ぐ)ことで、体の活動(企業活動)を維持することができます。営業活動によるキャッシュフローが長期的に滞ると、前述のように企業としての機能が停止し、倒産のリスクが高まるため注意しましょう。

投資活動におけるキャッシュフローとは

投資活動におけるキャッシュフローとは、主に設備投資や不動産、株、債権などの売買で生じる収支を指し、具体的には以下のようなものが挙げられます。

・事業での設備投資(マイナス要因)
・不動産の購入(マイナス要因)
・不動産の売却(プラス要因)
・投資有価証券の取得による支出(マイナス要因)
・投資有価証券の売却による収入(プラス要因)

営業活動におけるキャッシュフローがプラスになると会社の成長に力を入れやすく、投資活動に予算を割り当てる機会が多くなります。そのため、成長を続けている会社ほど投資活動におけるキャッシュフローはマイナスとなりやすく、営業キャッシュフローがプラスの範囲内で投資キャッシュフローがマイナスという状態を維持することが理想といえます。

会社の成長・発展を目的とした投資には、以下のようなものがあります。

・工場や設備の充実、修繕など、事業維持のための投資
・新商品の開発や事業の発足など、新規事業のための投資
・会社に蓄えられた資金を株や債権で運用する、過剰資金運用のための投資

投資活動におけるキャッシュフローがプラスになっているという場合は、何らかの理由から資産を売却し会社に資金を作り出している状態です。遊休資産を売却しているという場合は心配ありませんが、資金繰りに困って資産を切り崩しているという場合には、注意が必要です。

財務活動におけるキャッシュフローとは

財務活動におけるキャッシュフローとは、資金調達や返済により生じるお金の流れを表す数字です。財務活動におけるキャッシュフローがプラスの場合は借り入れなどによる資金調達が行われたこと表し、マイナスの場合は借入金の返済などが行われたことを表します。財務活動におけるキャッシュフローは以下のような収支により変動します。

・株式の発行による収入(プラス要因)
・自己株式の取得による支出(マイナス要因)
・配当金の支払い(マイナス要因)
・資金借り入れ(プラス要因)
・借入金の返済(マイナス要因)

営業活動におけるキャッシュフローのマイナスを財務活動におけるキャッシュフローのプラスで埋めあわせている場合、「足りない資金を補っている状態(営業活動による収入が安定していない)」と判断できるため、会社の業績は低迷していることがわかります。

成長を続け、業績が安定している場合は、借入金等の返済が進み財務活動によるキャッシュフローがマイナスで表示されます。

キャッシュフローの計算方法

会社の経営状況を正しく知るためにも、キャッシュフローの把握は欠かせません。毎月のキャッシュフローを分析することで月単位の業績やお金の動きを把握でき、1年間のキャッシュフローを分析することで年度単位のお金の推移を把握できるでしょう。

会社のキャッシュフローを計算するもっともシンプルな方法は、以下のとおりです。

・毎月のキャッシュフロー   = 当月末のキャッシュ - 前月末のキャッシュ

・1年間のキャッシュフロー = 当期末キャッシュ  - 前期末キャッシュ

特定の期間のお金の動きを知りたい場合はキャッシュフロー計算書を確認します。キャッシュフロー計算書は、中小企業においては会計上作成が義務づけられているものではありませんが、作成しておくことで損益とは異なる実際のお金の動きを把握できます。

例えば、商品の販売により利益が計上されれば損益上は黒字となりますが、実際に売上金が振り込まれるまでキャッシュフローはマイナスの状態が続きます。こうした状態が長引くと表面上は利益があるように見えても会社のお金が底をつき、必要な支払いができなくなる「黒字倒産」のリスクが高まります。

キャッシュフロー計算書は「営業活動」や「投資活動」・「財務活動」など区分別のキャッシュフローを計上できるため、水面下で起こる資金トラブルを未然に防ぎ、経営における課題を分析する際に役立てられます。このように会計上の損益よりも実際のキャッシュフローを重視して企業活動を行うことは「キャッシュフロー経営」とも呼ばれています。

キャッシュフローの計算書の見方

では、実際にキャッシュフロー計算書を見る際、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。キャッシュフロー計算書を見る際の3つのポイントをご紹介します。

ポイント1:営業活動におけるキャッシュフローがプラスであるか

営業活動におけるキャッシュフローは、会社の本業(販売やサービス)の業績を表します。数字がプラスになっていれば順調な売上で業績が安定していると判断でき、その状態を維持することが望ましいといえます。また、先にも述べたように、営業利益を上回るキャッシュインがあれば投資活動などに予算を割きやすく、会社の発展を見込めます。

ポイント2:投資活動におけるマイナスのキャッシュフローが存在するか

投資活動におけるキャッシュフローがないと、将来的に利益を生み出すことができなくなる可能性があります。現状で業績が安定している会社こそ投資活動におけるキャッシュフローを生み出し、未来のための投資を行うことが大切です。

ポイント3:営業活動におけるキャッシュフローがプラスの範囲内で投資活動におけるキャッシュフローがマイナスか

投資活動におけるキャッシュフローは常時マイナスとなることが理想ですが、営業活動におけるキャッシュフローがプラスでなければそもそも事業への投資も行えません。投資活動におけるキャッシュフローが営業活動におけるキャッシュフローを超えてしまわないよう、余裕あるキャッシュフローを循環させることが大切です。

上記のポイントを踏まえ、以下のような状態を保つことができると安定した経営が行えているといえます。

・営業活動におけるキャッシュフロー:プラス
・投資活動におけるキャッシュフロー:マイナス
・営業活動におけるプラスのキャッシュフロー>投資活動におけるマイナスのキャッシュフロー

まとめ

キャッシュフローを知ることは、会社に実際にある資金を知り、会計上の損益からは把握しにくいお金の流れを知ることにつながります。表面上は利益が出ているように見えてもキャッシュフローがマイナス状態になれば会社の資金は減り続けてしまうため、キャッシュフロー計算書を作成して会社の現状を把握しましょう。

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