東京オリンピックを2年後に控え同時開催されるパラリンピックにも注目が集まっています。障害者への理解が広まりつつあるものの、親族に障害のある方がいらっしゃる場合、その方の将来の生活に不安を感じることもあるかと思います。そのような場合、特定贈与信託制度を利用すると贈与税の負担無く、確実に財産を贈与することができ、障害者の方の資産を形成することができます。
特定贈与信託とは、特定障害者(重度の障害者、中程度の知的障害者及び障害等2級または3級の精神障害者)の方の生活安定を図ることを目的に、親族等(委託者)が金銭や有価証券、不動産等の財産を信託銀行等(受託者)に信託するものです。
信託銀行等は、信託された財産を管理、運用し特定障害者(受益者)の方の生活費や医療費を定期的に交付します。
この信託を利用すると「特定障害者に対する贈与税の非課税制度」が適用され特別障害者の方については6,000万円、特別障害者以外の障害者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税になります。
メリット
- ・ 贈与税の非課税が受けられ、委託者の相続の際、非課税の対象となった財産は生前贈与加算されない。
- ・ 親族等の方が亡くなった後も、引き続き受益者の生活費、医療費等が交付されるので、障害者の将来の生活に備えることが可能。
デメリット
- ・ 信託報酬、租税公課、振込手数料、その他事務処理に係る費用等があり、信託財産から支払われることになる。(信託財産から減額される。)
信託期間
特定贈与信託は、受益者の死亡の日に終了することになり、信託期間の限定はできません。残余財産はその相続人または受遺者に交付されます。
また、信託する際、委託者が信託終了後の信託財産の寄付先としてボランティア・障害者団体、社会福祉施設等を指定しておくと、残余財産を寄付して他の障害者の方のために活用することができます。